「司法書士 マネジメント」の最近のブログ記事

2012年2月15日

専門家に成果を上げさせるには - どのような貢献ができるか <4> -

 司法書士事務所の経営者の方から、「従業員が忙しすぎて、このままではもたないので新しい人材を採用したい。」との依頼をいただくことがあります。
その場合、私が必ず聞くのは、「その忙しさを解消するにはどのような役割を果たす人材が必要ですか? そもそもどうして従業員はそんなに忙しいのでしょう? 業務効率を上げるための努力はされましたか?」ということです。

 ヒアリングしていくと、いろいろなことがわかってきます。
従業員一人ひとりの問題の場合もありますし、従業員間、または従業員とボスの間のコミュニケーションの問題である場合もあります。
 たとえば、ボスの指示の出し方が不適切で従業員が依頼事項を理解できていない、ボスが決定をしないので中途半端なままで多くの業務が滞っている、といった類のことはよくあることです。

「知識労働者が生産するのは物ではなく、アイデア、情報、コンセプトである。知識労働者は、ほとんどが専門家である。彼らは一つのことだけをよく行うとき、すなわち専門化したとき大きな成果をあげる。しかし専門知識はそれだけでは断片にすぎず不毛である。専門家のアウトプットは、他の専門家のアウトプットと統合されて成果となる。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 知識労働者である司法書士事務所のメンバーは、自身が生産しているアウトプットを他のメンバーが利用してくれることでしか、組織のなかで貢献することはできません。そして、その貢献こそがそのメンバーの成果となるわけです。
では、自分のアウトプットを他のメンバーに利用してもらうためにはどうすればよいか。それは、他のメンバーが自分に何を求めているのかを知り、他のメンバーが自分のアウトプットを使いやすい状態を実現するということでしかありません。

 業務の停滞は、他のメンバーが自身に求めている貢献を真の意味で理解しておらず、理解していたとしても相手が自身のアウトプットを使えるような状態を実現する努力を怠っている場合に起こることが驚くほど多いのです。
それらの問題を解消しても、それでもなお忙しいということであれば、本当の人員不足といえるでしょう。

「『あなたが組織に貢献するためには、私はあなたにどのような貢献をしなければならないか』『いつ、どのように、どのような形で貢献しなければならないか』を聞く」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 ことによってのみ、私たち専門家は成果を上げることができるのです。

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2012年2月 7日

なすべき3つの貢献 - どのような貢献ができるか <3> -

 P.F.ドラッカーはなすべき貢献として、3つの領域での貢献を上げています。

「直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 「直接の成果」についてP.F.ドラッカーは、

「組織を生かすうえでカロリーの役割を果たす。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 といっていますが、私たちにとってはまさに本業そのものということでしょう。これは非常にわかりやすいですね。

 次の「価値への取り組み」とは何でしょう。一種のブランドといって良いかもしれません。司法書士事務所でいえば、相続領域のワンストップ化、債務整理での価格破壊、債権担保のための上流工程への取り組みなど、従来よりも高い価値をクライアントに提供することで、クライアントからは評価され、より社会へ貢献できる、成果を出すチャンスが生まれることになります。

 3つめの「人材の育成」。なぜ人材の育成が必要なのでしょうか。P.F.ドラッカーは、

「組織は個としての生身の人間の限界を超える手段である。したがって自らを存続させえない組織は失敗である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 といっています。継続のためには人材の育成が必須なのです。

 以上の3つのことが事務所経営者のなすべき貢献ということになります。
 「直接の成果」は黙っていてもやろうとするでしょうが、「価値への取り組み」、「人材の育成」は、意識しなければやらずに過ごされてしまいます。成果を出し続ける組織を作るために、なすべき貢献を意識してマネジメントに当たりたいものですね。

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2012年1月31日

貢献にコミットする  - どのような貢献ができるか <2> -

 成果への道筋を明確にするためには、何をもって貢献するかを考えるところから始まります。

「貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭い専門やスキルや部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 具体的にいうと、ある司法書士事務所に建売会社をクライアントとする不動産登記部門と、会計事務所をクライアントとする商業登記部門があったとします。
 不動産登記部門は事務所にとって「大きな収益部門」です。従来の司法書士事務所としてはそれだけの意味しかなかったかもしれません。しかし、不動産決済で大量に発行された権利書が十年を過ぎるころから相続登記というかたちでブーメランのようにかえってくることがあります。「決済は、将来の個人顧客を作るための大きな源泉」と考えれば、決済部門の事務所に対する貢献はまったく違った意味を持つことになります。

 経営者が、決済部門の持つ貢献の意味を上記のように定義すれば、従来の決済業務を正確かつスピーディに滞りなく行うということから、将来の顧客へとつながる関係性の構築、リピートを取るための工夫など、決済部門の具体的な行動が異なってくるはずです。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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