2009年04月17日

分散化する知識労働者の仕事 -効率をあげるために時間の使い方を意識する-

 知識労働者の生産性が向上しない理由の一つとして、「集中すべき業務に集中できていない」ということがあげられます。
 ある事務所が、事務所の資格者に日々の作業実績を、10分単位で日報として1ヶ月間書かせてみたそうです。
 クライアントから相談を受けている時間、書類を作成している時間、移動している時間、調べものをしている時間、お客様に返却する書類をまとめている時間、掃除をしている時間、見積もりを書いている時間、電話で話をしている時間、などなど。
 資格者は、実に様々な作業を行っていました。しかし、驚くべきことに、資格者としてやるべき仕事をしていた平均時間は、1日8時間のうち、なんとたったの2時間ほどしかなかったというのです。

 P.F.ドラッカーは、

「知識労働者の仕事は、充実するどころか不毛化している。当然、生産性は破壊される。動機づけも士気も損なわれる。看護人の意識調査を見ても、自分が看護の世界でしようと思ったこと、そのために訓練を受けてきたことができないことにいらだっている。当然のこととして、仕事に見合う給与が支払われていないと感じている。他方、これまた当然のこととして、病院のほうは、彼ら、彼女らが行っている事務の仕事に対し、給与を払わされすぎていると感じている。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と、知識労働者の現状についてコメントしています。

 開業してある程度経ってくると、「人材を採用したい」と考えるようになります。私のもとへも、最初に採用する人材に関して多くのご相談が寄せられてきます。
 その際に、私が必ずお聞きすることは、

 「その方を採用したら、あなたの時間はどれだけ空きますか?」
 「その方にどのような仕事を任せるつもりですか?」
 「そのことを任せることによって、あなたが割かなければならない時間はどうなりますか?」

 ということです。

 人材を採用したからといって、単純に自分の仕事が減るわけではありません。採用により増える仕事もあるのです。所長自身の仕事の効率を上げるためには、こま切れの時間をなるべく少なくして、まとまった時間を取れるように意識する必要があります。
 そのような視点から、「人」「もの」「金」をどのように投資すればよいかを考えることが重要なのです。

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2009年04月15日

「目的は何か」を問う  -司法書士事務所の生産性を向上させるために-

 P.F.ドラッカーは、

「これに対し、知識労働者の生産性の向上を図る場合にまず問うべきは、『何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか』である。手っ取り早く、しかも、おそらくもっとも効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめることである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と述べています。

 -夜遅くまで仕事をしている事務所がありました。-

 メンバーのほとんどは資格者で、一人ひとりがやる気に満ち、サボることもなく必死に働いています。しかし、なかなか仕事は終わりません。売り上げでみても、一人当たりの生産性はあまり良くありませんでした。

 ところが数ヵ月後・・・・・・、メンバー全員で話し合い、「ある事」を実行した結果、みんなが多少の残業をすれば帰途につけるという状態になったのです。一人当たりの生産性も上がり、事務所全体で受けられる仕事量も格段に増えました。その上、仕事の質についても高い評価を受けられるようになったのです。

 いったい、何を行ったのでしょうか?

 この事務所が行ったことは、

  (1)「資格者のすべき仕事」と「資格者でなくてもできる仕事」を分ける
  (2)資格者でなくてもできる仕事は、パートタイマーの補助者を増員して任せる

 という二つだけです。

 例えば、請求書作成業務の場合、今までは案件ごとに担当の資格者が行っていました。しかし、請求書のほとんどは、ルールにそえば誰でも作成可能なものです。実際に請求書の内容を見直してみると、全体の5%ほどの請求書だけが、担当した資格者でなければ分かりづらいというものでした。
 そこで、この業務については、特殊な請求書を除き補助者の方に任せることにしたのです。資格者には、特殊な案件かどうかを識別するため、受託票に「しるし」をつけるという作業が追加されましたが、請求書作成業務からは、95%以上解放されたのです。

 このように、「何が目的か」という視点で業務の見直しを繰り返すことによって、生産性を向上させることができるようになるのです。

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2009年04月08日

知識労働者は組織に依存しない -人材に継続的に活躍してもらうために-

 司法書士事務所が組織化されるにともない、当然のことながら組織は優秀な人材を採用し、保持し、才能を生かして組織に貢献してもらいたいと考えるようになります。
 しかし、従来までの司法書士事務所は、資格者は数年で独立することを前提として採用活動を行い、事務所で働いてもらってきましたから、「組織内で継続的に活躍してもらう」ために、採用活動や資格者との関係作りを図っていくということに慣れていません。

 P.F.ドラッカーは、

「彼ら(知識労働者※山口による脚注)以外の誰か、すなわち組織が、生産のための物的な道具を所有している。しかし、組織と知識労働者はたがいを必要とする。この新しい関係、現代社会における新しい緊張関係の存在は、もはや忠誠心は報酬だけでは得られないことを意味する。組織は、知識労働者に対し、その知識を生かすための最高の機会を提供することによって、初めて彼らを獲得できる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と述べています。

 「知識を生かすための最高の機会を提供する」ためには、その前提として、(1)知識労働者の持っている能力とキャリアプラン、(2)そのプランに沿ってキャリア開発を目指す能力、を知らなければなりません。そして、その二つが組織の理念やビジョン、さらには理念やビジョンを実現するための組織・人材戦略に、合致しているかどうかを確認する必要があります。

 そして、組織が「組織のミッション」を達成するためには、

「すでに組織は、製品やサービスと同じように、あるいはそれ以上に、組織への勧誘についてのマーケティングを行わなければならなくなっている。組織は、人を惹きつけ、引き止められなければならない。彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。彼らに仕え、満足させられなければならない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 のです。

 知識労働者(資格者)は事務所という枠組みがなければ、自身の「知識」という生産手段を活用することができませんから、事務所という組織に属する必要があります。しかし、彼らに組織に所属して活躍し続けてもらうためには、「この事務所でなければならない」という必然性を感じてもらわなければなりません。

 資格者も事務所側も(特に後者においては)、いかに相手を必要としているかを、しっかりと伝えることが大切なのです。

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