2009年05月07日

教えるときにもっとも学ぶ  -生産性を向上させる最善の道-

 私は多くの専門家の方に対し、経営支援のひとつとして「メンタリング」を行っています。その過程において、私は必ず、「あなたが、あなたの事務所の課題だと思っていることを教えてください」と尋ねます。すると、ほとんどの方は、いくつかのことを課題として話されます。次に私は、「今、あげていただいた課題について、あなたはどのように考えていますか、またはどう対応したらよいと考えていますか?」と質問します。するとまた、ほとんどの方が、それに対する考えや思いを一生懸命、説明してくれます。そして、説明された対応内容が、大きく外れているということは、ほとんどありません。

 相談に来られる方は、「何が問題」で、それに対して「どのように行動すべきか」という答えを、自身の中に既に持っているのです。それを私に教えようとすることで整理され、話し始めた途端に気づく、ということが多いのです。
 教えるということは、自分が持っている「答え」を相手に伝える行為ですが、伝えるためには「答え」を確認し、分かりやすいようにまとめる、という作業が前提として必要です。
 つまり、教える = 「答え」をまとめる + 伝える ということです。

 P.F.ドラッカーは、

「第一に、生産性の向上には継続学習が不可欠であるということである。(中略)第二に、同じく重要なこととして、ここ数年の観察で明らかになったこととして、知識労働者は自らが教えるときにもっともよく学ぶという事実がある。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と述べています。

 司法書士事務所において、所員全体の生産性をあげようと思うのでしたら、「教える」ということをもっと重視すべきです。ある業務を誰かに教えることによって、教える側が、その業務についての問題点に気がつき、何を改善しなければならないか、を学ぶことができるのです。

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2009年04月28日

仕事のプロセスを分析する -さらなる生産性向上に取り組むために-

 P.F.ドラッカーは知識労働の生産性をあげるために、

「成果が主として質を意味する仕事については、どう分析すべきかは実のところまだ分かっていない。しかし分かってはいないが、こう問わなければならない。『何が役に立つか』。また、成果が質と量の両方を意味する仕事については、『何が役に立つか』を問うと同時に、仕事のプロセスを一つひとつ分析することが必要である。作業的な知識労働については、仕事の質の水準を定め、それを仕事のプロセスに組み込むことが必要である。生産性向上は、作業を分解し、分析し、組み立て直すことによって実現できる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 としています。

 仕事をいくつかのプロセスに分解すると、分解されたそれぞれのプロセスも知識労働の三種類のどれかに分類されるため、その生産性をあげる手段も明確になるということでしょう。

 さらにP.F.ドラッカーは、

「われわれが知識労働で必要としている生産性の革命は必ずもたらされる。ただし、一つだけ条件がある。肉体労働者の生産性向上について第二次世界大戦後学んだことを実行することである。すなわち、知識労働者自身がパートナーとなって生産性の向上に取り組むことである。仕事の水準、難易度、技能の程度に関わりなく、あらゆる知識労働に生産性と成果に対する責任を組み込む必要がある。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 とも述べています。

 司法書士事務所の経営者は、組織が大きくなればなるほど、実務家としての役割よりもマネージャーとしての役割を果たさなければなりません。当然、現場を離れることによって実務家としての能力が弱ってきますから、「自身がパートナーとなって生産性向上に取り組む」ことは困難です。
 マネージャーとして、知識労働の生産性を高めようとするならば、より狭い分野のミドルマネジメントを養成して、その者に生産性の向上を託さなければなりません。

 経営者自身が実務家としての役割を抱えたまま、現場で直接、多数の実務家の生産性を向上させようとしても、必ず失敗することになるでしょう。

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2009年04月22日

知識労働の三種類 -司法書士事務所の業務を分類する

 P.F.ドラッカーは、知識労働には大きく分けて三つの種類があり、どの種類に分類されるかによってその生産性を高めるための要件が違ってくるとの見解を示しています。

「第一に、知識労働のいくつかにおいては、仕事の成果は純粋に質の問題である。たとえば、研究所の仕事である。量、すなわち研究成果の数は、質に比べればまったく二義的である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 このことは、製薬会社のファイザーが、一時期バイアグラによって一躍世界のトップメーカーに躍り出た、という事実により明らかです。
 司法書士事務所で言うと、どの分野のマーケットに進出すべきか、どの地域に事務所を設けるべきか、という戦略的判断がこの領域に入ります。
 また、企業再編などで一つひとつの課題に対するスキームをつくる、といったこともこの領域に入るでしょう。会社法の深い知識、税務や許認可などの周辺知識を深めることが生産性を高めるためには重要ということです。

「第二に、質と量をともに成果とすべき知識労働が幅広く存在する。デパートの店員の成果がそれである。顧客の満足は質的な側面であり、定義するのはそう簡単ではない。だがそれは、売上高や売上伝票の枚数という量的なものと同じように重要である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 不動産取引の立会いの際、不動産の仲介業者にアンケートをとっている事務所があります。これは質的な成果を目的とするもので、こなした立会いの件数とあわせて評価の対象になります。

「第三に、生命保険会社の保険金支払い、病院のベッドメーキングなど、その成果が肉体労働と同種の仕事が多数ある。それらの仕事の場合、質は前提条件であり、制約条件である。仕事の質は、成果ではなく条件である。最初から仕事のプロセスに組み込んでおかなければならない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 申請書の作成業務などが、この領域に該当します。人の名前、住所、物件の表示など、正しいことが前提条件になります。そのためには、書類の作成プロセスのなかに、作成手順とチェック項目を組み込んでおかなければなりません。

 事務所の業務をきちんと分類することによって、

「知識労働の生産性を高めるには、その仕事が、成果に関して、いずれの範疇に属するかを知っておく必要がある。そうして初めて、何に取り組むべきかが明らかになる。『何を分析すべきか』『何を改善すべきか』『何を変えるべきか』を決定できる。さらには、知識労働のそれぞれについて、生産性の意味を明らかにすることができる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 ようになるのです。

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