2009年09月02日

書きとめて見比べる  - 成長と変化を続けるための教訓 <6> -

 六つめは、「イエズス会とカルヴァン派の教訓」です。
 P.F.ドラッカーによると、カソリックのイエズス会とプロテスタントのカルヴァン派は、16世紀前半に創設され、まったく同じ学習方法をもとに成長したそうです。

「イエズス会の修道士やカルヴァン派の牧師は、何か重要な決定をする際に、その期待する結果を書きとめておかなければならないことになっていた。一定期間の後、例えば九ヵ月後、実際の結果とその期待を見比べなければならなかった。そのおかげで、『自分は何がよく行えるか、何が強みか』を知ることができた。また『何を学ばなければならないか、どのような癖を直さなければならないか』、そして『どのような能力が欠けているか、何がよくできないか』を知ることができた。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 司法書士に限らず私たち専門家は、実務家として、経営者として、継続的に学習し成長していかなければなりません。さらに経営者は、事務所を「学び成長する組織」に変革していかなければなりません。
 しかし、成長や変革を急に起こすことはできません。「書きとめて」おき「見比べる」といった一見単純そうな作業を繰り返し続けること、そして常に、自分の強みや事務所の経営課題を明らかにしていくことこそが、成長と変革につながっていくのです。

 P.F.ドラッカーは続けます。

「私自身、この方法を五〇年以上続けている。この方法は、『強みは何か』という、人が自らについてすることのできるもっとも重要なことを明らかにしてくれる。『何について改善する必要があるか』『いかなる改善が必要か』も明らかにしてくれる。さらには、『自分ができないこと、したがって行おうとしてはならないこと』も教えてくれる。そしてまさに、『自らの強みが何か』を知ること、『それらの強みをいかにしてさらに強化するか』を知ること、そして『自分には何ができないか』を知ることこそ、継続学習の要である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

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2009年08月26日

新しい仕事が要求するものを考える - 成長と変化を続けるための教訓 <5> -

 五つめは「シニアパートナーの教訓」です。

 保険会社の証券アナリストから投資銀行に転職したP.F.ドラッカーは、シニアパートナーの補佐役をやっていたそうですが、創業者の一人がドラッカーを呼びつけて次のように叱責したそうです。

「『保険会社のアナリストとしてよくやっていたことは聞いている。しかし、証券アナリストをやりたいのなら、そのまま保険会社にいればよかったではないか。今君は、補佐役だ。ところが相も変わらずやっているのは証券アナリストの仕事だ。今の仕事で成果をあげるには、いったい何をしなければならないと思っているのか。』」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 これを受けてドラッカーは、以下のことを習慣とするようになったそうです。

「このとき以来、私は新しい仕事を始めるたびに、『新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか』を自問している。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 コンサルタントとしてさまざまな人や組織に関わってきたドラッカーは、このことに関連して次のような感想を漏らしています。

「10年あるいは15年にわたって有能だった人が、なぜ急に凡人になってしまうのか。私の見てきた限り、それらの例のすべてにおいて、原因は、昇進した者が、ちょうど私が60年以上前、あのロンドンの投資銀行に入ったばかりのころにしていたこととまったく同じことをしていることにある。彼らは、新しい任務に就いても、前の任務で成功していたこと、昇進をもたらしてくれたことをやり続ける。そのあげく、役に立たない仕事しかできなくなる。正確には、彼ら自身が無能になったからではなく、間違った仕事の仕方をしているために、そうなっている。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 私は司法書士として事務所を経営していたとき、4回ほど踊り場を経験しました。
 最初は売上を立てるために、とにかくがむしゃらに実務と営業に励み、ある程度基盤ができたところで、「自分自身がこの組織で不要となるためにはどうすればよいのか」を考えて行動するようにしました。その結果、本当に「自分は必要ないのではないか」と思う局面(踊り場)が4回ほどあったのです。
 私は人間として、父親として、実務家として、経営者としてどのような役割を果たすべきかを常に考え、行動しています。ドラッカーのいう「『新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか』を自問している。」を、日々実践しようと努めています。

 司法書士試験に合格して勤務したとき、勤務した司法書士事務所でマネージャーとなったとき、独立をしたとき、人材を採用したとき、マネージャーをおくようになったとき、支店を出したとき、事務所の承継を意識して後進を育てるとき・・・・・・「新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか」を自問しなければなりません。そして経営者となったからには、当然、所員や後継者に対して、そのことを伝えていかなければならないでしょう。

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2009年08月19日

定期的に検証と反省を行う  - 成長と変化を続けるための教訓 <4> -

 四つめは「編集長の教訓」です。

 新聞記者時代、20代のドラッカーは、ヨーロッパでも指折りのジャーナリストだった編集長から、訓練・指導を受けます。

「毎週末、私たちの一人ひとりと差し向かいで、一週間の仕事ぶりについて話し合った。加えて半年ごとに、一度は新年に、一度は六月の夏休みに入る直前に、土曜の午後と日曜を使って、半年間の仕事について話し合った。編集長はいつも、優れた仕事から取り上げた。次に、一生懸命やった仕事を取り上げた。その次に、一生懸命やらなかった仕事を取り上げた。最後に、お粗末な仕事や失敗した仕事を痛烈に批判した。この一年に二度の話し合いの中で、いつも私たちは、最後の二時間を使ってこれから半年間の仕事について話し合った。それは、『集中すべきことは何か』『改善すべきことは何か』『勉強すべきことは何か』だった。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 アメリカでコンサルティングの仕事を始めたドラッカーは、毎年必ず2週間ほどは、自由な時間をつくって1年間の反省をするとともに、次の1年にやるべきことの優先順位を決めたそうです。

 士業は基本的に事業年度がありませんから、経営者自身が意識的に時間を設定して「検証と反省」を行わなければ、毎日の実務に追われて時が経過していきます。
 私は司法書士事務所の所長の方を中心にメンタリングを行っています(ほとんどの方が月に1回)。そのなかで話されることは事務所ごとに異なりますが、その月の振り返りと今後の方針決めに使われている方もいらっしゃいます。

 事務所の経営について、定期的な「検証と反省」そして「方針決め」を習慣にされることをお勧めします。

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