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満場一致に注意せよ - 意思決定の秘訣 <13> -

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 P.F.ドラッカーは、GMのトップであったスローンが、最高レベルの意思決定を行う際、満場一致の時こそ意思決定を行わなかったという逸話を紹介しながら、「意見の不一致」が意思決定に不可欠であると説いています。

「第一に、組織の囚人になることを防ぐからである。あらゆる人が、決定を行う者から何かを得ようとしている。特別のものを欲し、善意のもとに、都合のよい決定をしてもらおうとする。決定を行う者が、大統領であろうと、設計変更を行う新人の技術者であろうと変わらない。それら特別の要請や意図から脱するための唯一の方法が、十分検討され、事実によって裏付けられた反対意見である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
「第二に、選択肢を与えるからである。いかに慎重に考え抜いても、選択肢のない決定は向こう見ずなばくちである。決定には、常に間違う危険が伴う。最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違いになることもある。決定のプロセスにおいて、他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討済みのもの、理解済みのものをもつことができる。選択肢がなければ、決定が有効に働かないことが明らかになったとき、途方にくれるだけである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
「第三に、想像力を刺激するからである。問題を解決するには、想像力は必要ないとの説がある。だが、それは数字の世界だけである。政治、経済、社会、軍事のいずれであろうとも、不確実な問題においては、新しい状況をつくり出すような創造的な答えが必要である。想像力、すなわち知覚と理解が必要である。第一級の想像力は潤沢にはない。とはいっても、一般に考えられているほど稀なわけでもない。しかし想像力は、刺激しなければ隠れていて使われないままになる。反対意見、特に理論付けられ、検討し尽くされ、かつ裏付けられている反対意見こそ、想像力にとってのもっとも効果的な刺激剤となる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 意思決定を行うための話し合いは、異なる意見を戦わせ、それぞれの意見の優位性や問題点を浮き彫りにして、最終的に経営者が意思決定を行う判断材料を集めるために行われるというわけです。
 司法書士事務所も組織体となってきており、会議体での意思決定を行うシーンも増えていると思います。そのような場における意思決定の方法を聞いてみると、往々にして「満場一致で」と答える事務所が多数あります。

 「満場一致」には二通りあって、ひとつは「まったく異議がない」という状態、もうひとつは「異議はあるが従う」という人がいる状態です。

 一番怖いのは「まったく異議がない」という満場一致です。深い議論がつくされずに場の雰囲気で物事が決まってしまうことが大半だからです。「異議はあるが従う」という満場一致も、議論がつくされた上であれば良いのですが、争いを避けたいがために「声の大きい人に従う」といった事なかれ主義からきているのであれば、大問題です。

 最初から「満場一致の場合は意思決定しない」と決めておけば、意見が一致しないことが前提となりますから、会議体のメンバー全員が、気楽に自分の意見を出すことができるようになるでしょう。反対意見を十分に検討することで、よりよい意思決定が可能となるのです。

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