カテゴリ「司法書士事務所のマネジメント」の記事
2009年03月13日

組織は創造的破壊のためにある -事務所に求められること、司法書士に求められること-

<その一> 組織としての司法書士事務所に求められていること

 P.F.ドラッカーは組織の存在理由を「破壊的創造」におきました。

「社会、コミュニティ、家族は、いずれも安定要因である。それらは、安定を求め、変化を阻止し、あるいは少なくとも減速しようとする。これに対し、組織は不安定要因である。組織は、イノベーションをもたらすべく組織される。イノベーションとは、オーストラリア生まれのアメリカの経済学者ジョセフ・シュンペーターが言ったように創造的破壊である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 個人の資格者の集合体としての士会を「コミュニティ」に、新たに登場してきた司法書士法人を「組織」に当てはめて考えてみるとどうでしょうか。
 組織は個人ではできなかったことを実現する力(専門性を高め、統合し、資本を蓄積し、人材を教育し、クライアントのニーズに合わせた商品を開発する力)を持ちます。持たなければ、組織とはいえません。つまり、組織になったとたんにイノベーションが始まるわけです。

 一方、コミュニティは従来のルールになじんでおり、新しいルールを作ることについては当然のことながら慎重になります。そもそも、個人を対象としていたルールを、そのまま組織に当てはめること自体に無理があるといって良いでしょう。そこに緊張や束縛が起こることは、当たり前です。
 この問題は時として、どちらかが「正しい」または「間違っている」という観点で議論されます。しかし上述のとおり、両者間の緊張関係は、当然発生する原理原則といえるものですから、それを前提とした上でどのように調整すべきか、ということこそ議論されなければなりません。
 そして、その際に重要な視点となるのは、「誰のために」ということです。コミュニティなのか組織なのか、それとも、それ以外の「第三者」なのか。

<その二> イノベーションは組織に所属する司法書士にも求められる

「新しい組織社会では、知識を有するあらゆる者が、四、五年おきに新しい知識を仕入れなければならない。さもなければ時代遅れとなる。このことは、知識に対して最大の影響を与える変化が、その知識の領域の外で起こるようになっていることからも、重大な意味をもつ」(『プロフェッショナルの条件』」上田惇生編訳)

 司法書士事務所のスタッフに求められる能力は、登記の電子申請の仕組みが創設されたことによって大きく変わりました。中間省略登記がオーソライズされたのは、マーケットのニーズがあったからだと思います。

 これからの司法書士は、自身の専門分野を深めることとあわせて、自分たちの専門領域に影響を与える変化が、どこでどのように起こっているのかを常にサーチしている必要があります。知識に対して影響を与える変化をサーチしながら、変化にあわせて新しい知識を吸収しなければなりません。

 組織がイノベーションを続けるためには、そこに所属する知識労働者たちが、知識をイノベーションしていく必要があります。外的環境の変化が激しい時代においては、そういう能力を発揮できる人材を持たない組織は、淘汰されても致し方ないのです。

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2009年03月11日

組織社会が直面する問題 -司法書士の独占業務と新しいサービス-

 P.F.ドラッカーは、組織社会が直面する問題として、

「しかし、今後いかなる問題が登場するのか、いかなる領域にいかなる課題が存在するかについては、すでにかなりの程度明らかになっている。特にわれわれは、組織社会がいかなる緊張と課題に直面するかをすでに知っている。
それは、安定を求めるコミュニティと変化を求める組織の間の緊張であり、また個人と組織の間の緊張であり、両者の間の責任の関係である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

と述べています。

 昨今、IPO(Initial Public Offering)を目指す企業の支援、不動産証券化におけるデューデリジェンスの支援、相続時の諸手続きに関する支援などを行う司法書士の方々がいらっしゃいます。
これらの業務はもともと司法書士の独占業務として規定されているものではありませんが、(1)マーケットからの要請にしたがって司法書士がその持っている専門知識を活かす形で行ったり、(2)独占業務を実行する過程のなかで発生するマーケットのニーズを取り込む形で実行したりしているものです。
 既存の商品やサービスをいかに提供するかという視点を「プロダクトアウト」、顧客の視点で商品やサービスを提供しようとする視点を「マーケットイン」といいますが、独占業務の提供はプロダクトアウト、上記のような独占業務以外の顧客のニーズに応える形でサービスを創造提供することはマーケットインに該当します。

 どちらが良いか悪いかという問題ではなく、安定を求める「コミュニティ」は従来の独占業務をベースに物事を考えますし、変化を求める「組織」は、社会のニーズに応えなければ自らの存在価値を喪失してしまうと考えます。よって「組織」が独占業務からはずれて新しいサービスを行う際には、両者の間に緊張関係が生じるのです。
 しかし、このようなことは、特に司法書士業界に限らず、世の中一般に発生しています。好ましくは、この緊張を見て見ぬふりをするのではなく、組織とコミュニティ間を調整し、緊張を和らげる仕組みを用意することが必要なのではないでしょうか。

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