カテゴリ「司法書士 マネジメント」の記事
2012年12月26日

二つの実例 - 意思決定とは何か <2> -

 P.F.ドラッカーは、アメリカのふたりの経営者の意思決定を例に出して、エグゼクティブが行うべき意思決定について分析をしています。ひとつは1910年代から20年代にベル電話会社を世界最大の電話会社に育て上げたセオドア・ヴェイルの四つの意思決定。もうひとつは、GMを世界最大の自動車会社に育て上げたアルフレッド・P・スローン・ジュニアの一つの意思決定です。結論から言うと、優れた意思決定とは、

「その時々の個々のニーズに対する対応としてではなく、戦略的な意思決定として取り組まれていた。それらの意思決定はすべて社会的なイノベーションをもたらすものだった。いずれも基本的な議論を引き起こすものだった。事実彼ら二人が行った五つの意思決定はすべて、当時誰もが知っていたことと正面から対立するものだった。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 ということです。ふたりの意思決定の具体的な内容について、ここでは触れませんが、ぜひ読んでいただきたいなと思います。

 話は少し変わりますが、最近、不動産業を始める司法書士が多いのが気になります。
不動産業を始めた動機を聞くと、それ自体を収益化しようとするものと、売り物件を仲介業者に紹介することで仕事の受注につなげようとすることという二つの動機があるようです。動機については疑問を感じませんが、自分たちのクライアントは誰かということを忘れていないかと感じるようになりました。
 相続や債務整理などで任意売却をする不動産が出てきた場合、司法書士は最大限、所有者の利益を追求すべきでしょう。上記の二つの動機と所有者の利益が相反しないようにしなければ、司法書士は一方で「国民の権利保全」という隠れ蓑をまとい、そのことを信頼して財産の処分を任せてくれたクライアントの期待を裏切る、ということになります。自己否定につながりかねないわけです。

 P.F.ドラッカーがいうように、ヴェイルやスローンが行ったような「目先の利益ではない、戦略的な意思決定とは何か」、経営者として専門家として、よく考えてみたいものです。
 年の初めに考えるのに良いテーマではないかと思います。それではみなさま、よいお年をお迎えください。

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2012年10月25日

エグゼクティブ特有の仕事 - 意思決定とは何か <1> -

 ひとつの目的を達成するために協業する2人以上の人間の集団を「組織」と定義するとしたら、その組織には「意思決定を行う」という仕組みが必要になります。通常は役割として「決定する者」が置かれることになります。
 組織として決定する仕組みができていないと、その組織は組織として機能することができません。

 司法書士の事務所においても、フラットな関係の共同事務所や司法書士法人が、時として空中分解することがありますが、その多くがこの「決定する」という仕組みができあがっていないことに起因しているように見えます。空中分解しないまでも、組織として同一の目的を達成するために機能しておらず、組織のなかの個人、あるいは小組織が、それぞれてんでバラバラに動いて右往左往していることもあります。これも組織として「決定する」という仕組みができていないからでしょう。

 P.F.ドラッカーはいいます。

「意思決定はエグゼクティブの仕事の一つにすぎない。通常、時間もわずかしかとらない。しかし意思決定はエグゼクティブに特有の仕事である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 意思決定を行うだけでなく、その仕組みをつくることこそ経営者の仕事なのです。

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2012年10月03日

優先順位の決定に必要なこと - 最も重要なことに集中せよ <5> -

 P.F.ドラッカーは、優先順位を決定するにあたって重要なのは分析ではなく「勇気」であるといいます。「勇気」をもって以下の4つの原則に基づき決定すべきといいきります。

「第一に、過去ではなく未来を選ぶ。第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。第三に、横並びではなく独自性をもつ。第四に、無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 司法書士業界だけでなく、私たち専門家を取り巻く環境はめまぐるしく変わっており、事務所の経営のかじ取りも非常に難しくなっています。

「集中とは」、『真に意味あることは何か』『最も重要なことは何か』という観点から時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことである。この集中こそ、時間や仕事の従者となることなくそれらの主人となるための唯一の方法である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 だからこそ、何に集中するのか。経営者は、じっくり、しかし「勇気」をもって迅速に決めていきたいですね。

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