カテゴリ「司法書士 マネジメント」の記事
2013年05月30日

何が正しいかを知る - 意思決定とは何か <5> -

 第三のステップは「決定を受け入れられやすくするための妥協を考慮する前に、正しい答えすなわち必要条件を満足させる答えを検討する」ということです。

 意思決定は、第三者や組織および組織のメンバーにも何らかの影響を及ぼすことになります。司法書士事務所に限らず経営者が意思決定を行うときには、影響を受けるであろう人たちの顔が自然と目に浮かんでくるのではないでしょうか。
 評価制度を変える、オフィスを移転する、妥当だが高額の請求をする・・・・・・相手が嫌がる、困る、怒る、そんな顔が浮かんできます。誰しもネガティブな反応が起こる意思決定などしたくありませんから、最初からそのことを避ける配慮を前提とした意思決定をしてしまいがちです。
 しかしP.F.ドラッカーはこのような意思決定のプロセスを否定します。

「決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。満たすべき必要条件を満足させるうえで何が正しいかを知らなければ、正しい妥協と間違った妥協を見分けることもできない。その結果間違った妥協をしてしまう。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 もちろん軋轢は発生するでしょう。しかし、経営者はそれを受け入れるしかありません。間違った妥協のほうが、もっと対処しがたい障害を生む恐れがあります。

「換言するならば、『何が受け入れられやすいか』からスタートしても得るところはない。それどころか通常この問いに答える過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん成果に結びつく可能性のある答えを得る望みさえ失う。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

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2013年05月22日

必要条件を明確にする - 意思決定とは何か <4> -

 第二のステップは「問題への答えが満たすべき必要条件を明確にする」ということです。

 たとえば各地に支店を展開している司法書士法人があるとします。経営陣が支店展開の意思決定を行う場合、その目的、求める効果、成果をどれだけ明確にしているでしょうか。
 顧客の獲得、機会の刈り取り、ドミナント展開でのブランディング? 今回の意思決定がその目的を達成するという条件(必要条件)を満たす決定なのかどうか、その目的の中身をなるべく詳細につめて検証しなければなりません。

 トートロジーですが、「効果をあげる意思決定」には当然のことながら「効果をあげる目的」があり、そのこと自体が必要条件なわけです。しかし、その目的(必要条件)をしっかり考えずになされている意思決定が意外なほど多いように感じます。

「満たすべき条件を満たさない決定は、新しい問題を生むだけである。一度行った決定をいつ放棄するかを知るためにも、必要条件を明確にしておくことが必要である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 必要条件を満たすかどうかの検討は、撤退を判断する際にも有効です。成果があがらない(必要条件を満たす意思決定ではなかったという)とき、明確な撤退条件を決めておかないと傷口を広げ続けることになるからです。

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2013年05月15日

問題の種類を知る - 意思決定とは何か <3> -

 P.F.ドラッカーは、前回あげた「二つの実例」から、成果をあげるための意思決定には五つのステップが必要と述べています。今回から、その一つひとつについて詳しくみていきましょう。

 第一のステップは「問題の多くは原則についての決定を通してのみ解決できることを認識する」ということです。そうなると、意思決定の対象となる問題そのものがどのような類いのものかを見極めなければなりません。

「まず初めに、一般的な問題か例外的な問題か、何度も起こることか個別に対処すべき特殊なことかを問わなければならない。基本的な問題は、原則と手順を通じて解決しなければならない。これに対し例外的な問題は、状況に従い個別の問題として解決しなければならない。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 経営者で「人」の問題で悩んでいない方はおらず、司法書士事務所も例外ではありません。具体的には、よい人が採用できない、人のモチベーションが低い、給与に不満がある、入所しても短期で辞めるなどいくらでもあげることができます。
 しかし、それら一つひとつの問題について一般的な問題なのか、例外的な問題なのかを考えると、ほとんどの場合が一般的な問題であることがわかります。一般的な問題に対して、個別に場当たり的に対処しても根本的な解決にはなりません。その場は凌げたとしても結局は同じ問題が何度も起こります。そこに気づくことが成果をあげるための意思決定の第一歩です。

 また、その場限りの意思決定がどのような影響を及ぼすか、経営者の方は何度も経験しているはずです。司法書士事務所でよく見受けるのは、場当たり的な給与の決定、ルールを決めずに与える休みや残業などです。そのことは、後から入ってきた優秀な人材との給与の不均衡、ルールがないがゆえにその都度悩まされる休暇申請への対応、サービス残業に対する不満への対処、といった弊害となって何度も現れます。
 だからこそ意思決定はなるべく一般化、普遍化できるものにする必要があります。

「臨時のものは生き延びる。(中略)成果をあげるエグゼクティブは、この厳粛な事実を知っている。もちろん即席の措置をとるべきこともあろう。しかしそのような措置をとるときには、『もし仮に、これが長期のものであってもそうするか』と自ら問わなければならない。もし答えが『ノー』ならば、より一般的、より概念的、より包括的な問題解決、すなわち正しい原則を定めるべくさらに努力しなければならない。」(『
経営者の条件
』上田惇生編訳)

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