カテゴリ「司法書士 マネジメント」の記事
2013年07月05日

正しい意思決定の要件 - 成果をあげる意思決定とは <1> -

 右に行けば90%成功し、左に行くと成功の確率は10%しかない。このような意思決定について判断を迷う経営者はあまりいないでしょう。問題なのは、右が51%、左が49%。しかもそのパーセンテージを事前に把握できない時です。

「意思決定とは判断である。いくつかの選択肢からの選択である。(中略)はるかに多いのは、一方が他方よりもたぶん正しいだろうとさえいえない二つの行動からの選択である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 たとえば「どのような人事評価制度をつくるのか」を題材にして意思決定の問題を考えてみましょう。司法書士事務所に限りませんが組織にとっては、まさに人材が命なので、良い人材を採用し、その人材がモチベーション高く働いて成果を出し、長く定着してもらう、という効果(注1)を狙って人事評価を考えます。
 しかし、人材側の事務所に勤務する目的、背景(年齢、未婚既婚、性別、親の介護の有無、等々)はさまざまですし、事務所が求める「良い人材」も事務所の中の役割をよくよく考えると、実に多様であることに気づきます。
 そうなると、まず「良い人材」の定義を行い、人材側の想定される事情を勘案してからでないと、先ほど述べたような効果が得られる人事評価制度をつくることはできません。

 また、さらに重要なことは、評価測定の基準も見直し、新しくすることです。
何人面接を行って何人採用できたのか、人材のモチベーションをどのように測るのか、成果の基準は? 定着の基準は? 
 今回の制度変更によって求める効果を達成するためには何が人事評価に盛り込まれていなければならないか、新しい適切な基準を見つけだすことが重要です。

 評価測定の基準を見出すためには、P.F.ドラッカーの次の考えが示唆的です。

「おそらくここにおいて決定的に重要な問いが『有意性の基準は何か』である。この問いへの答えから、検討中の意思決定に必要な評価測定の基準が得られる。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)
「評価測定のための適切な基準を見つけ出すことは統計上の問題ではない。それはすでにリスクを伴う判断の問題である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 そして、十把ひとからげに、全体の平均値などを基準として判断を行うと大きな間違いを起こします。採用できない原因、辞めた原因、モチベーションの低い原因を、対象ごとに事細かに分析していくことが大事です。現場の状況を細かく分析することで、求める効果への評価基準がしっかりと見えてくるはずです。

(注1)ただ、求める効果も事務所によって異なります。ある事務所にとっては「短期の勤務でもOK、ただ単純作業を黙々とこなしてくれる人材を採用できる」という効果を人事評価に求めるかもしれません。

カテゴリ:司法書士 マネジメント | コメント(0)

2013年06月13日

フィードバックを行う - 意思決定とは何か <7> -

 行った意思決定は二つの意味で成果を出せないリスクを包含しています。ひとつは、行った意思決定がもともと誤っていた場合、もうひとつは、意思決定を行った当時と状況が変化するということです。
 このリスクを回避するために、第五のステップとして「決定の適切さを検証するためにフィードバックを行う」ことが必要と、P.F.ドラッカーは言います。

「最後に、決定の基礎となった仮定を現実に照らして継続的に検証していくために、決定そのものの中にフィードバックを講じておかなければならない。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 意思決定は陳腐化します。また、その意思決定により形づくられた組織、習慣、業務フロー、仕組み、そのすべては定着すると、時として無意識に自己防衛を行います。
変化は居心地が悪いのです。ですから、常にフィードバックを行い、その意思決定が誤っていないか、陳腐化していないかを、経営者はウォッチし続ける必要があるわけです。

 では、どうやってフィードバックするか。P.F.ドラッカーは、決定を行った人間(経営者)が行動の現場に行くことを勧めています。

「コンピュータの到来とともに、このことはますます重要になる。決定を行う者が行動の現場から遠く隔てられるからである。自ら出かけ、自ら現場を見ることを当然のこととしないかぎり、ますます現実から遊離する。コンピュータが扱うことのできるものは抽象である。抽象化されたものが信頼できるのは、それが具体的な事実によって確認されたときだけである。それがなければ抽象は人を間違った方向へ導く。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 司法書士事務所であれば、登記手続きはオンライン申請でできても、報告はお客さまのところに直接出向いて行うとか、定期的に支店をまわってみるとか、スタッフ一人ひとりとコミュニケーションをとるということを忘れてはいけないと思います。

カテゴリ:司法書士 マネジメント | コメント(0)

2013年06月05日

行動に変える - 意思決定とは何か <6> -

 司法書士事務所だけに限りませんが、会議のなかで意思決定はしたものの、「いつ(いつまで)」「誰が」「どのようにして」を決められずに解散することがままあります。当然のことながら、そのような意思決定はいつしか忘れられてしまいます。

 第四のステップとして必要なことは「決定に基づく行動を決定そのものの中に組み込む」ことです。P.F.ドラッカーは、決定が具体的な行動に移され成果を出すために必要なこととして、いくつかの要素を挙げています。

「決定を行動に移すには、『誰がこの意思決定を知らなければならないか』『いかなる行動が必要か』『誰が行動をとるか』『その行動はいかなるものであるべきか』を問う必要がある。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 意思決定にかかわる経営者は、「この決定で影響を受ける人が誰か」をまず考えるべきです。そして、できればその人を意思決定のミーティングに参加させ、その決定が彼(または彼の部署)に与える影響を聞き、さらにそのことで他のメンバー(または他の部署)が配慮すべきことを考える必要があります(組織全体の統一性を取らないといけませんから)。

 また、その意思決定を具体的な行動に変えるためには「人」が具体的に動く必要があります。「人」が動くためには、動くための環境整備が必要です。なかでも「時間」が重要でしょう。具体的に動くことになる人は、いま現在遊んでいるわけではありません。追加で行動をしなければならないのですから、そのための時間を用意する必要があります。そして、「動機」も非常に重要です。銀行の営業マンにはさまざまなノルマがありますが、すべてのノルマにはポイントがついています。基準点、累積点などで評価される彼らは、ポイントが付かない仕事を後回しにしますので、新たな仕事で成果を出すことはできません。

 良い決定が良い成果を出すのではありません。決定を行動に移せるようにすること、行動に移すために環境を整備することが重要です。そしてまさにそのことが経営者が行うべき仕事なのです。

カテゴリ:司法書士 マネジメント | コメント(0)

2 / 2212345...1020...最後 »

リンク集

  • 山口毅のおもしろき世をよりおもしろく
  • 司法書士 求人 就職・転職支援サービス メンターエージェント | 司法書士で就職・転職をお考えの方はこちら!
  • 土地家屋調査士 求人 就職・転職支援サービス メンターエージェント | 土地家屋調査士で就職・転職をお考えの方はこちら!
  • 司法書士 人材採用支援サービス メンターエージェント | 司法書士の求人・採用をお考えの方はこちら!
  • 司法書士合格者・有資格者の方が事務所選びに成功するための就職・転職セミナーのご案内はこちら!
  • メンタリングサービス
  • 独立・開業を目指す司法書士の方へ。「司法書士開業塾」のご案内
  • 司法書士 事業承継支援サービス
  • 新しい時代のプロフェッショナルへのステップアップ講座
  • サイバーメンター
  • 専門家による専門家のための超実践的セミナー「メンタージャム」開催中
  • コンサルティングファーム