2011年5月アーカイブ

2011年5月24日

意思決定を行う(4) - 成果をあげるには <13> -

 最後に、P.F.ドラッカーは、意思決定はトップマネジメントの専権事項ではないといいます。

「意思決定とはトップが行うものであり、トップが行う意思決定だけが重要であるかのごとき議論がある。大きな間違いである。組織としての意思決定はスペシャリストから現場の経営管理者まであらゆるレベルで行われている。知識を基盤とする組織では、それぞれの意思決定が重要な意味をもつ。知識労働者とは、自らの専門分野、例えば税務については他の誰よりも知っているべき者であり、その意思決定は組織全体に大きな影響を与えるはずのものである。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 裏返しで言うと、トップがすべての意思決定を行っている組織は、単なる作業実行集団ということになります。司法書士事務所でも、非常に優れた能力を持ったカリスマ経営者が作った組織、たまたま成功したワンマン経営者が率いる組織に、よくみられる光景です。

 カリスマ経営者はすべてを自分ひとりで決めたがるので、組織のメンバーは知識労働者としての能力を果たすための意思決定を放棄します。カリスマ経営者が指導しているかぎり、組織はそれなりに成長し、表面上はうまくいきます。しかし、その経営者がいなくなった途端、その組織は崩壊するでしょう。

 ワンマン経営者も同様で、組織のメンバーは知識労働者として意思決定を行う意欲を失っていきます。カリスマ経営者との違いは、たまたま成功しただけの経営者は、自分本位の間違った意思決定を行う可能性が高いということです。誤った意思決定のために崩壊することが多いように思います。

 いずれにしても、本来は知識労働者であり意思決定に関与すべき司法書士資格者が、あたかも肉体労働者であるかのような働きしか行えないなら、組織として発揮すべき力も発揮できないままに終わることは確実です。

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2011年5月17日

意思決定を行う(3) - 成果をあげるには <12> -

 また、P.F.ドラッカーは意思決定の見直しによる効用を二つあげています。

「意思決定の定期的な見直しは、自己開発の手段ともなる。意思決定の結果を期待に照合するならば、自らが強みとするもの、改善すべきもの、知識や情報の欠けているものが明らかになる。自らの偏りも明らかになる。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)
「意思決定の定期的な見直しは、自らの弱み、特にからっきし苦手とするものも明らかにする。そのような分野では何もしてはならない。人に任せるべきである。誰にもそういう分野はある。万能な者などいない。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 「プロフェッショナルの条件」から言い続けていますが、「何ごとかをなし遂げるのは、強みによって」だけです。意思決定の見直しは、私たちが成果をあげるために非常に重要なことなのです。

 司法書士事務所の経営者が、営業は不得手だというのであれば、営業が強みという者を雇えばよいわけですし、所内の業務改善といったことが苦手というのであれば、それが得意な者をパートナーに選べばよいのです。

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2011年5月13日

意思決定を行う(2) - 成果をあげるには <11> -

 P.F.ドラッカーは意思決定を定期的に見直すべきであるといいます。

「定期的な見直しは、人材のリクルートと昇進の人事において特に重要である。人事についての調査によれば、成功する人事は三分の一だという。成功でも失敗でもないものが三分の一、失敗が三分の一である。人事がうまくいかなかったときには、動かされた者を無能と決めつけてはならない。人事を行った者が間違ったにすぎない。マネジメントに優れた組織では、人事の失敗は異動させられた者の責任ではないことが理解されている。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 これは皆さんもよく経験されているかもしれませんね。ただ、多くの経営者が、所員に「来月で辞めさせてください」といわれるまで気がつかないかもしれません。

 大企業の場合、異動先はいくらでもありますが、司法書士事務所はそうはいきません。だからこそ余計に、その人事に問題ないかを頻繁に見直す必要があるのです。

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2011年5月 9日

意思決定を行う(1) - 成果をあげるには <10> -

 アクションプランは実行しなければ意味がありません。今回からは、プランを実行するために必要なことについて考えてみることにしましょう。

「アクションプランは行動に移さなければならない。そのためには、意思決定、コミュニケーション、機会、会議の四つについて考えることが必要である。」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 まずは、意思決定について。P.F.ドラッカーは、意思決定を行うときには、次の四つのことを必ず決めなければならないといっています。

「 (1)実行の責任者 (2)日程 (3)影響を受けるがゆえに決定の内容を知らされ、理解し、納得すべき人 (4)影響を受けなくとも決定の内容を知らされるべき人」(『経営者の条件』上田惇生編訳)

 (1)と(2)が決まっていないと成果が出ないことは、多くの経営者の方が経験されているでしょう。司法書士事務所に限らず、所長が決めた業務改善の定例会議。2~3回は続いたが、知らないうちに雲散霧消したという経験、みなさんの事務所でもありませんか?
 誰がその会議を主催して、どのような結果を出すかを明確にしていないと、そうなりますね。

 また(3)は、(1)(2)と比べると、不明確になっていることが多いようです。それはアクションプラン(たとえば業務改善プロジェクト)であげるべき成果と優先順位が明確になってないために、他の業務との関係でどれくらいの重要性があるかを決めていないことからくる当然の帰結です。意思決定者はその点をはっきりさせるべきです。

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山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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