2011年1月アーカイブ

2011年1月25日

価値ある組織をつくる - 何によって憶えられたいか <5> -

 自らの成長のために重要なこととして、P.F.ドラッカーは逆説的に次のように言います。

「自らが価値ありとするところで働くのでなければ、人は自らを疑い、自らを軽く見るようになる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 「価値あり」ということは、たとえば組織の価値観と自身の価値観が合致しており、かつ自身が組織で果たす役割が組織の価値実現と連動すること、そしてそれが正しく評価されるということでしょう。

 司法書士事務所の所長に限らず、経営者であれば、そのことを認識し、そのような環境を整備し、人の成長を促し、組織のミッションを果たさなければなりません。
 人の成長は、もちろんその人自身の責任ですが、成長する人間をとどめ置き、組織で活躍してもらうためには、経営者が成長できる環境を整備しなければならないのです。

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2011年1月19日

辞めるか 移るか - 何によって憶えられたいか <4> -

 私は4回、仕事を変えました。初めはサラリーマン、営業をやっていました。次に、司法書士の受験指導校での講師。続いて、司法書士事務所の経営者。そして現在、コンサルティングファームの経営者。士業事務所の経営支援を行っています。
 受験指導校の講師以降は、自分自身の社会的な役割を変えていくという視点で、仕事を変えてきました。

「自らの成長のためには、自らに適した組織において、自らに適した仕事につかなければならない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と、P.F.ドラッカーは言っていますが、それを意識して仕事を変えてきたわけではありません。ただ、大学卒業時から比べると、多少は人間的成長もあるでしょうから、結果的には自らに適した組織に属し(創り)、自らに適した仕事についていたのかもしれません。
 なぜそうなったのか、それは私が、「何をもって社会に貢献したいのか」を意識しつつも、一方で非常に我儘(じぶんのまんま)だったからだと思います。

「学校を出たばかりでは、自らのことはほとんど何も分からない。大きな組織のほうが仕事ができるのか、小さな組織のほうができるのかは分からない。人と一緒に仕事をするほうがよいのか、ひとりのほうがよいのか、不安定な状況のほうがよいのか、逆なのか。時間の重圧があったほうがよいのか、ないほうがよいのか。迅速に決定するほうか、しばらく寝かせないとだめなほうか。(中略)われわれは気質や個性を軽んじがちである。だが気質や個性は、訓練によって容易に変えられるものではないだけに、重視し、明確に理解することが必要である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 私はわがままに、自分の気質に向いた仕事の選択をしてきた結果が、今の仕事であり、今の役割なのだなと思っています。

 「大きな組織を経営する、小さな組織を経営する、大きな組織に所属する、小さな組織に所属する、人をマネジメントする、ひとりで職人としてこつこつ仕事をする」というように、気質によって仕事の選択をすることが、人間の成長のためには重要だということですね。これは司法書士事務所の経営にも大いに参考になります。

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2011年1月13日

自らの成長に責任を持つ  - 何によって憶えられたいか <3> -

 P.F.ドラッカーは、自身の卓越性が何か、それをどのようにすれば生かすことができるのかを知っているのは自分自身であり、それに基づいて行動することができるのも自分以外にない、と言います。

「自らを成果をあげる存在にできるのは、自らだけである。他の人ではない。(中略)成功の鍵は、責任である。自らに責任をもたせることである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 卓越性を生かし、自らを成長させるためには、より高い責任を自身に課し、その責任を果たそうと努力しなければなりません。

 最近の資格者のなかには、苦労して司法書士試験に合格したのにもかかわらず、「責任を負いたくないので、司法書士登録をしたくない」という方がいらっしゃいます。しかし、それはイコール「成長を望んでいません」ということと同義でしょう。
 自ら責任を引き受けようという気概がなければ、誇りや自信をもって仕事をすることはできませんし、事務所の経営に携わっていくこともできないでしょう。

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2011年1月 7日

卓越性を追及する  - 何によって憶えられたいか <2> -

 「成長」の結果が「貢献」であり、貢献することが「憶えられる」ことにつながります。
 P.F.ドラッカーは「成長」について次のように語っています。

「自らの成長のためにもっとも優先すべきは、卓越性の追及である。そこから充実と自信が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく、人間そのものを変えるがゆえに重要な意味をもつ。能力がなくては、優れた仕事はありえず、自信もありえず、人としての成長もありえない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 「卓越性」は内部(その人の他の能力との比較)と外部(他の方の能力との比較)で考える必要があります。卑近な例で恐縮ですが、私が人材紹介(メンターエージェント)を行うなかで感じていることをお話します。

 昨今、司法書士は900名以上の合格者が輩出され、都市部での就職や開業が難しくなっています。一方、全国には司法書士が不足している地域も多く、事務所が求人を出しても資格者が採用できない、司法過疎化が進んでいるという話もよく聞きます。
 この場合、資格者が集中している都市部では、資格を持っていることだけで卓越性があるとはいえませんが、司法書士が少ない地域では、資格を持っていることが卓越性になります。後者のような地域では、その能力を発揮する機会は格段に増え、その能力は確実に磨かれ、そこから充実や自信がうまれ、人間そのものを変えることになります。

 都市部では、仕事を獲得することに(特に事務所の経営者は)汲々としがちですが、地方では課題を解決すること、またそのために能力を磨くことに力を集中できるのです。
 周囲の人びとからリスペクトされ、自信に満ちた司法書士が、地方に数多く存在すると感じるのは私だけでしょうか。

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2011年1月 4日

今年もよろしくお願いいたします  - 何によって憶えられたいか <1> -

 みなさま、明けましておめでとうございます。
 一昨年3月より、P.F.ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」にそって司法書士事務所のマネジメントについて語ってきましたが、いよいよ、「プロフェッショナルの条件」も最終章「何によって憶えられたいか」に突入します。
 「何によって憶えられたいか」・・・・・・このワンフレーズがP.F.ドラッカーが「プロフェッショナルの条件」で言いたかったすべてを集約しているように思います。

 私は大学時代にヘーゲル哲学を学び、そのときに感じたことがあります。それは、人間は、空間と時間に限界があることを認識したとき「死」を認識し、「死」を超越するための答えを見出そうともがく存在であるということです。そして同時に、人間は「人類」というひとつの生命体を組成する細胞のひとつであり、「人類」が幸福に生きるために、細胞としての自身(一個人)が貢献することにこそ、自身(人間)が生きる意味があり、それにより「死」を超越できるものと考えるに至りました。
 P.F.ドラッカーのいう「何によって憶えられたいか」は、私が考えている「細胞としての自身が貢献することにこそ、自身が生きる意味がある」と同義であると私は理解し、共感しています。
 人類、国家、社会、組織、家族、外の世界に貢献することで、人は生きることができるといえます。そしてその結果、「△△で憶えられる」ようになるのです。

 「プロフェッショナルの条件」については、あと数回で終了いたしますが、その後も、P.F.ドラッカーの言葉をひきながら、経営道場は続けてまいります。今後ともご高覧いただければ幸いです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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