イノベーションとは、一般的には「新機軸」「革新」と訳されますが、P.F.ドラッカーは、次のように定義しています。
「イノベーションとは起業家に特有の道具であり、変化を機会として利用するための手段である。」(『
イノベーションと起業家精神』上田惇生編訳)
「イノベーションは、市場に焦点を合わせなければならない。製品に焦点を合わせたイノベーションは、新奇な技術は生むかもしれないが、成果は失望すべきものとなる。」(『
マネジメント』上田惇生編訳)
つまり、イノベーションとは「変化」を「市場を拡大・創造する」ために「利用する手段」であり、成果をあげるためには、経営者はそれを上手に使わなければいけないということです。
今回からしばらくは、イノベーションを行うために「なすべきこと」「なすべきでないこと」「必要な条件」について考えていきたいと思います。
P.F.ドラッカーは、「なすべきこと」を五つあげています。その一番目からみていきましょう。
「第一に、イノベーションを行うためには、機会を分析することから始めなければならない。(中略)
(1)予期せぬこと (2)ギャップ (3)ニーズ (4)構造の変化 (5)人口の変化 (6)認識の変化 (7)新知識の獲得
これら七つの機会のすべてについて、体系的に分析することが必要である。」(『
プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
(4)の「構造の変化」について具体例をあげてみましょう。
日本の世帯数のうち、65歳以上の人がいる世帯の割合は、平成2年時点では約27%(1100万世帯)でしたが、平成19年には、約40%(1900万世帯)を占めるまでになりました。さらに、それを65歳以上の女性のみの単独世帯でみてみると、平成2年では3.3%(約130万世帯)だったものが、平成19年には6.6%(約310万世帯)でした。つまり、おばあちゃんのひとり暮らしが17年間で倍増しているのです。
近年「おひとりさま」を対象とした、さまざまなサービスが生み出されるようになっていますが、これは世帯の構造変化を「機会」と捉えてイノベーションが行われた結果といえます。司法書士業界でも、相続や成年後見の分野で、新しいサービスの開発が進んできていますね。