なぜ、司法書士事務所が「個人」から「法人」の時代に移りつつあるのか?P.F.ドラッカーの次の文章が示唆的でしょう。
「多くのことに強みをもつ人間は、組織を必要としないし、欲しもしない。彼らは独立して働いたほうがよい。しかしほとんどの者は、独力で成果をあげられるほど多様な強みをもっていない。」(『
プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
P.F.ドラッカーがいう「強み」はもちろん相対的なものです。
司法書士の数が、お客さまの数よりも相対的に少ない時期は、司法書士のロジックで物事が決まっていました。しかし規制緩和の結果、司法書士の数が相対的に多くなってくると、お客さまのロジックで物事が決まるようになっています。お客さまのロジックで物事が決まるのですから、司法書士はお客様の求めるものにあわせて、「強み」を多様化させ、深化させていかなければなりません。
依頼された不動産登記ばかりを行えばよい古きよき時代は終わり、お客さまのニーズにあわせて、専門性・コスト・利便性などを進化させていくことが司法書士にも求められています。「個人」から「法人」の時代へ移りつつあるのはここに理由があります。
お客さまのニーズにあわせて変化できるほど、「個人」は強くないのです。人は、24時間・365日は働けませんし、いつかは亡くなります。司法書士のすべての業務で、第一人者といえる人はいないでしょう。「個人」であることがボトルネックなのですから、「法人」に主役の座を明け渡さざるを得ないのです。個人事務所の経営者は、真剣に対策を考える必要があります。
組織で行うことの意義を、「1+1が3にも4にもなる」と表現する事がありますが、なぜそれが可能となるのでしょうか?それは組織が個人の強みを生かし、弱みを消すことができるからです。
「組織は、一人ひとりの人間に対し、彼らが、その制約や弱みに関わりなく、その強みを通して、ものごとをなし遂げられるよう奉仕しなければならない。このことは今日、ますます重要になっている。まさに決定的に重要である。」(『
プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)