2010年7月アーカイブ

2010年7月28日

カリスマ性はいらない - リーダーシップの本質 <1> -

 「カリスマ」の語源は、古代ギリシャ語の「恵み charis」に由来し、新約聖書では神から贈られる特殊な能力を意味していましたが、現在では「普通の人が持ち合わせない、人を魅了する非日常的な能力、またその非凡な資質を持つ人間」という意味で使われています。
 司法書士事務所の所長や企業の経営者の方と話していると、「僕は○○さんのようなカリスマ性は持ち合わせていないので・・・・・・」という言葉を聞くことがあります。失礼ながら、そうだな(笑)と思うこともありますが、そのようにおっしゃる方が優れた指導者であることが多いように思います。

 P.F.ドラッカーは、リーダーシップは手段であり、リーダーとしての資質やカリスマ性とは無関係であると言い、リーダーの要件を三つあげています。

「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである。(中略)効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 リーダーたるものは、組織のなかでの役割を認識し、その役割を果たすことが自身の仕事であると見ている、ということだと思います。
 私自身も「組織が経営者を雇っている」のだと思っており、この言葉を経営者の方々にお伝えするようにしています。

 経営者の仕事は、組織を使って自身のやりたいことを実現することではありません。組織のミッションを規定し、組織がそのミッションを果たすために必要な役割を考えて、それを果たすことが仕事なのです。

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2010年7月21日

自己管理と責任からなるリーダーシップ - 情報型組織の台頭 <5> -

 リーダーシップは、経営者だけに求められるわけではありません。組織のメンバー一人ひとりが、ある仕事ではリーダーとなり、情報を伝え、自身のミッションを完遂するために、他の人の協力を得なければなりません。

「情報型組織は、自由寛大な組織ではない。規律の厳しい組織である。それは強力かつ決定的なリーダーシップを必要とする。一流の指揮者は例外なく、厳しい完全主義者である。一流の指揮者を一流たらしめるものは、最後列のもっとも役割の小さな楽器をして、オーケストラ全体のできを素晴らしいものにするよう演奏させる能力にある。言いかえれば、情報型組織がもっとも必要とするものは、現場からトップにいたるまで、自己管理と責任のうえに立つリーダーシップである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 そう、「現場からトップにいたるまで」リーダーシップを発揮する必要があるのです。司法書士事務所でいえば、所長も資格者も事務スタッフも、事務所という組織の目標を理解し、そのために自分が何をすべきかを考え、自発的に行動できるようになることが理想です。しかし、そのような組織が自然とできあがるわけではありません。

 繰り返しとなりますが、それを創り上げる責任を負っているのは、経営者なのです。

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2010年7月14日

柔軟性と多様性をあわせもつ組織 - 情報型組織の台頭 <4> -

 さて、みなさんの事務所はどちらでしょう?

 (司法書士事務所A)
  従業員は、朝、事務所に着くまで、今日何をするかがわかって
  いません。出社すると、管理職(という名前の人)が、今日の仕事
  を振り分けてきます。
  与えられた作業は、とにかく今日中にこなさなければなりません。

 (司法書士事務所B)
  従業員は、朝、家をでる時から、今日成すべきことを理解して
  います。出社後は、特に指示がなくても、やるべきことを整理し、
  関係者と調整しながら優先順位を考えて進めていきます。

 P.F.ドラッカーは、前者を「従来型組織」、後者を「情報型組織」と定義しました。

「従来の組織は、軍をモデルにしている。ところが情報型組織は、オーケストラに似ている。すべての楽器が同じ楽譜を演奏する。受けもつパートは異なる。いっせいに演奏するものの、同じ音を合奏することはめったにない。バイオリンの数が多いからといって、第一バイオリンがホルンのボスであるわけではない。第一バイオリンは、第二バイオリンのボスでさえない。しかるにオーケストラは、一晩に、演奏様式も楽譜もソロの楽器もみなまったく異なる曲を五つも演奏する」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 オーケストラのように、事務所全体がひとつの楽譜(目標)に基づいて動く姿を想像してみてください。非常に愉快ではありませんか。

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2010年7月 9日

中間管理職のミッションとは? - 情報型組織の台頭 <3> -

 ひとりの人間がマネジメントできる最適の人数は、軍隊の分隊の構成人数(5~6名)とされてきましたが、「情報型組織」はその単位を有名無実化するとP.F.ドラッカーはいいます。

「すなわち、ひとりの上司に報告する部下の数は、部下が上下、左右との関係や意思疎通に責任を負う意欲によってのみ上限が定められるという、意思疎通の範囲についての原則と呼ぶべきものに取って代わられる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 前回あげた司法書士事務所の例のように、スタッフに作業を振り分け、進捗のみをチェックするといった役割の中間管理職を置く意味は薄くなってきています。
 中間管理職の重要なミッションは、そのような「作業」ではなく、「部下が上下、左右の関係や意思疎通に責任を負う意欲」を高め、自律的に実行できるように「支援すること」です。
 そのミッションを中間管理職が果たせないと、仕事は停滞し、業務効率を求められる組織のメンバーは疲弊し、人材の離職率が高まるという悪循環に陥ることになります。
 組織がある一定規模以上になってきた時に、従来のやり方で組織運営がうまくいかないことがよくありますが、それは、この中間管理職のミッションを、経営者が理解していないからにほかなりません。

 P.F.ドラッカーがいうように、

「情報型組織は、必ずしも先端的な情報技術を必要としない。必要なのは『誰が、どのような情報を、いつ、どこで必要としているのか』を問う意思である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 組織を作りあげていく過程では、この「意思」が常に問われているということを、経営者は肝に銘ずるべきだと思います。

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2010年7月 6日

組織に中間管理職は必要か? - 情報型組織の台頭 <2> -

 P.F.ドラッカーは、組織の未来像を次のように語っています。

「オフィスの未来像は、いまだ推測の域を越えない。しかし未来の組織は、急速に現実のものとなりつつある。それは情報を中心とする組織、つまり情報型組織である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 情報型組織とは?その特徴のひとつを、P.F.ドラッカーは、こう述べています。

「情報型組織は平らである。マネジメントの階層が従来の組織に比べ圧倒的に少ない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 司法書士事務所でも、幹部会議やリーダー会議と称して、管理職を集めて一方的に所長が事務所の方針を伝えるだけの場を設定し、それでマネジメントができていると考えている事務所を多く見受けます。しかし、ただ告知するだけであれば、朝礼でも、メールでも、グループウェアの掲示板でも可能でしょう。そんな会議は意味がありません。かえって、中間管理職を介することで、所長の意向や方針が組織の末端まで正確に伝わらないという弊害が起こります。
 また、所長が全体の仕事の指示を行い、割り当てられた分の作業をスタッフに振り分け、進捗度合いのみをチェックするだけの中間管理職も多く見られます。そんな「作業」は誰でもできます。極端な話、機械に代替させることだって可能でしょう。

 P.F.ドラッカーが言うように、情報を伝達するだけのマネジメント層(中間管理職)は、組織には不要なのです。
 本当に中間管理職が必要なのか、中間管理職に何を期待しているのか、彼らはその役割を果たしているのか、彼らはその任に耐えうる人材なのか、を経営者は再度問い直してみる必要があります。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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