2010年6月アーカイブ

2010年6月30日

司法書士事務所の組織の作り方  - 情報型組織の台頭 <1> -

 以前にも少し述べましたが、司法書士の事務所組織は、仕事の内容によって違いはあるものの、その成長段階によって、三つに分けることができます。

 <第1段階> 
  所長である資格者をトップとして、その指示命令のもとにスタッフが
  作業を行う組織。情報のやり取りは、所長-各スタッフ間で主に行わ
  れます。判断は所長、作業はスタッフという役割分担となります。

 <第2段階> 
  一定範囲の作業を任せられるスタッフが育ち、かつ作業量がその
  スタッフだけではこなせないほど増えてきた時、そのスタッフを管理
  職としてその指導の下で一定範囲の作業を行う組織。情報のやり取
  りは、所長-管理職、管理職-スタッフ間で主に行われます。
  判断は所長と管理職(一定の範囲内ですが)、作業はスタッフという
  役割分担となります。

 <第3段階>
  分業可能な作業が複数あり、かつそれぞれの作業を任せられる管理
  職が育ってくると、管理職を長とするチームが複数でき上がり、所長
  は管理職を統括し、管理職が各スタッフを指導するという組織。
  情報のやり取りは、所長-管理職、管理職-スタッフ、管理職-管
  理職の間で行われます。所長の「統括」とは、「チームを全体として
  一つの組織として機能させる指導」です。
  管理職にはスタッフへの指導とあわせて、他のチームとの調整という
  役割が加わってきます。

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2010年6月23日

目標によるマネジメント - 優れたコミュニケーションの前提 -

 コミュニケーションの「四つの原理」を理解しても、すぐにコミュニケーションがうまくいくわけではないようです。どうすればよいのでしょうか?
 P.F.ドラッカーのふたつの文章が示唆的です。

「コミュニケーションを成立させるには経験の共有が不可欠だということである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 経営者や管理職の課題を、部下は自分なりに理解しています。しかし、経営者や管理職と同じように理解しているわけではありません。同じように理解してもらう、もしくは理解の仕方が自分とは違うということに気づいてもらうためには、経験を共有する必要があります。そのためには、部下にも「目標と自己管理によるマネジメント」を経験させなければなりません。

 先月(5月)の17日に放映されたカンブリア宮殿では、株式会社物語コーポレーションの小林佳雄社長が取り上げられていました。小林社長は、現場の店長に「プレジデント」の称号を与え、多くの権限(アルバイトの採用から日々の売り上げ目標、年間予算まで)を移譲しているそうです。つまり、店長に経営者(社長)としての経験もさせているのです。離職率が3割と高い外食産業にあって、同社は7%と極めて低いそうです。マネジメントの経験が共有されていることで、社長と社員のコミュニケーションがうまくいっているからではないでしょうか。

「コミュニケーションは、私からあなたへ伝達されるものではなく、われわれの中のひとりから、われわれの中のもうひとりへ伝達されるものである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 この発想は、実に面白い。コミュニケーションを1:1の対立軸ではなく、ひとつの組織・共同体のなかで伝達されるものとしてみるということです。
 そう考えれば、相手と自分は一心同体です。お互いのために、同じベクトルに向かってどうすればよいかを考えればよいのです。司法書士事務所において、所長が所員と話す場合も、クライアントやアライアンス先と応対する場合も同じです。

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2010年6月16日

情報とは別物である - コミュニケーションの四つの原理 <4> -

 今日は、コミュニケーションの「四つの原理」の最後です。

「第四に、コミュニケーションと情報は別物である。両者は依存関係にある。コミュニケーションは知覚の対象であり、情報は論理の対象である。情報は形式であって、それ自体に意味はない。それは人間の関係ではない。そこに人間的な要素はない。  情報は、感情、価値、期待、知覚といった人間的な属性を除去すればするほど、有効となり信頼性を高める。しかし、情報はコミュニケーションを前提とする。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 裁判員制度導入に伴い、検察側は裁判員に対するプレゼンテーションをどのように行うかをいろいろと検討し、結局は、裁判員の方の理解をより一層容易にするために、画像の映写やボードの掲示といったビジュアル化に対応したプレゼンテーションソフトを使うことになったそうです。情報の伝え方がコミュニケーションに影響する事例といえます。

 ただP.F.ドラッカーが言うように、情報(が伝わるために)はコミュニケーションを前提としますから、信頼関係がない時点で情報ばかりを伝えても、相手は受取ってくれません。たとえば、司法書士事務所の所長(経営者)が、採用したばかりの所員とコミュニケーションをとろうとして話しかけても、それが「情報」でしかないなら意味がありません。従業員は、なぜ所長はそんな話をするのだろうと怪訝な表情をするだけでしょう。
 順番を間違えてはいけません。まずは、信頼関係をつくることです。

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2010年6月 9日

受け手に対し何かを要求している - コミュニケーションの四つの原理 <3> -

 コミュニケーションの「四つの原理」の三つめです。

「第三に、コミュニケーションは常に、受け手に対し何かを要求する。受け手が何かになることを、何かをすることを、何かを信じることを要求する。それは常に、受け手それぞれの何かをしたいという気持ちに訴えようとする。コミュニケーションは、それが受け手の価値観や欲求や目的に合致するとき強力になる。それらのものに合致しないとき、まったく受けつけられないか、抵抗される。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 例えば司法書士事務所の所長が、事務所のメンバーに自分の思うように働いてもらいたいと考えたとき、どうすればよいのでしょう?
 経営者が「自身の要求」を押し付けるだけでは、受け入れてもらえません。前回述べた第二の原理である「相手の期待」を理解して、それと「自身の要求」とを、調和させる必要があります。

 所員の期待は、給与・やりがい・スキルアップ・安定性・働きやすさなど、さまざまです。当然、ひとによっても異なります。各人がそのなかで求めているものは何か、どれにコミットしたら、仕事に対するモチベーションをあげてくれるのか、を経営者は考えなければなりません。

 そういったことを意識しながらコミュニケーションをとっていますか?

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2010年6月 4日

期待しているものだけを知覚する - コミュニケーションの四つの原理 <2> -

 前回に続き、コミュニケーションの「四つの原理」の二つめです。

「第二に、われわれは知覚することを期待しているものだけを知覚する。見ることを期待しているものを見、聞くことを期待しているものを聞く。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
   私は、司法書士を対象とした「営業セミナー」の講師として「営業の基本」についてレクチャーしています。

 営業とは「相手のビジネスを自分が持っているリソースで支援できること、相手が持っている課題を自分が持っているリソースで解決できること、を相手に知ってもらい、そのうえで発注してもらうための行為」と、私は定義づけています。
 ですから、そのためにはまず、相手のビジネスモデルと担当者のミッションを知ることが「営業の基本」だと思っています。相手のビジネスモデルやミッションを理解しない売り込みは、相手の期待を無視した的外れな提案となってしまいます。人は期待していないものを知覚することを拒みますから、相手は最初からあなたの話を聞いていないでしょう。

 相手が何を見たり聞いたりしたいかを知ることが重要です。

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2010年6月 1日

受け手の言葉を使う - コミュニケーションの四つの原理 <1> -

 司法書士事務所の経営者は、組織内の人を動かし、外部の人間と交渉し、時には専門家としてクライアントの相談にのることで自分の役割を果たしています。それらはすべてコミュニケーションを通して行われますから、よいコミュニケーションをとれるようになることは、極めて重要です。一般的にも、コミュニケーションの大切さが叫ばれ続けていますが、それは結局のところ、「よいコミュニケーション」とはどんなものか、理解している人は少ないということかもしれません。
 P.F.ドラッカーは、コミュニケーションには「四つの原理」があるといっています。今回は、その一つめについて考えてみます。

「コミュニケーションは、受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験にある言葉を使わなければならない。説明しても通じない。経験にない言葉で話しても、理解されない。受け手の知覚能力の範囲を越える。コミュニケーションを行おうとするときには、『このコミュニケーションは、受け手の知覚能力の範囲内か、受け手は受けとめられるか』を考える必要がある。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 司法書士事務所においても、所長は、所員・クライアント・アライアンス先などに対し、相手がこちらの言葉を理解できるように配慮する必要があります。
 当たり前のことですが、コミュニケーションは伝わらないと意味がありません。それを肝に銘じていれば、クライアントに対して専門用語でまくし立てて説明する、なんてことはありえないはずです。しかし、そのような応対をする専門家が、残念なことに意外に多く見受けられます。
 
 また所長が、所員に「一を聞いて十を知れ」と言ったとしても、所員がその意味するところを理解できなければ、いくら要求しても期待通りの成果はでてきません。繰り返し同じ言葉を言っても無駄です。相手がどう理解しているのかを確認しながら、相手がわかる言葉は何かを考え、それを使って話さなければなりません。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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