2009年12月アーカイブ

2009年12月29日

来年もよろしくお願いいたします

 今年の3月からはじめた当ブログも、おかげさまで年を越すまで続けることができました。お読みになってくださったみなさま、ご意見・ご質問を寄せてくださったみなさまに、厚く御礼を申し上げます。

 司法書士業界は、この10年間、混沌の時代にありました。
途方もないスピードで、「供給者側のロジック」から「需要者側のロジック」へとパワーバランスが移っています。規制緩和というパンドラの箱が開けられたことにより、「専門家のロジック」から「クライアントのロジック」によって物事が決まるという、ある意味あたり前のことが、業界のなかにも起こり、急速に進行しています。

 しかし、2010年は、混沌の時代を抜け出し、新しい時代への萌芽が生まれる年となるでしょう。後の時代からみたら、飛躍的な変化が起こった年と位置づけられるかもしれません。
 パンドラの箱の底に残った「希望」は、「クライアントのロジック」を用いて意思決定し、実践した者だけがつかみ取ることができるのではないでしょうか。そうした方たちが、新しい時代のリーダーになるのだと思います。
 
 来年も、そんな新しいリーダーを目指されるみなさまとともに、P.F.ドラッカーが残してくれた実践的な思想に分け入りながら、「これからの司法書士事務所の経営に必要なものは何か」ヒントを見つけ出していきたいと思います。

 それでは来年も、山口毅の「司法書士事務所 経営道場」をよろしくお願いいたします。

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2009年12月24日

タイムログを利用する - 時間を管理する <5> -

 今回は、前回述べたタイムログの活用方法について考えてみます。
 司法書士事務所にもさまざまなタイプの事務所がありますが、コンサルティングと司法書士業務の混合型の事務所(例えば、企業法務を得意としている事務所などがその典型例でしょう)の場合は、タイムログによって自分自身を管理するとともに、メンバーを管理・評価することが容易になります。

 たとえば、現在の年棒が500万円のAさんがいるとします。彼がクライアントのために使った時間の集積=請求金額は1500万円必要と仮定します(1000万円は、事務所の諸経費、将来の投資、内部留保などになります。給料の3倍稼げといいますよね)。
 Aさんの1日の労働時間を8時間、月に21日稼動、12ヶ月働くとすると、年間の労働時間は、8×21×12=2016時間となり、お客様に請求する際のAさんの時給単価は1500万円÷2016時間=7440円となります(ちなみにAさんの時給は2480円)。
 上記を仮想の単価として、実際にAさんが仕事をした案件で、どれだけの請求をクライアントにすることができたかを累計してみましょう。

 (1)Aさんが残業もせずに1800万円の請求をすることができた場合、実際の時給単価は8929円、仮想単価を上回る働き(+1489)をしたことになります。
 (2)反対に、200時間残業して1200万しか請求できなかったとすると、実際の時給単価は5415円と仮想単価を2025円も下回ったことになります。Aさんには200時間の残業代がついて年俸が上がりますが、事務所の負担は増えています。

 所長の悩みのひとつに、「仕事ができる人間のほうがクライアントへの請求額が多いのに、残業が少ないので給与が少なくなってしまう」ということがありますが、タイムログをAさんの時給に反映させることで、ほとんど解決できるでしょう。上記(1)の場合は496円引き上げて2976円に、(2)の場合は675円引き下げて1805円として、翌年の報酬を決定すればよいのです。

 タイムログを利用して評価を客観的にしっかりと行うことができれば、雇用される側も自身をマネジメントすることを意識するようになりますし、管理者側も誰にどのような仕事を任せればよいかなどを把握しやすくなります。

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2009年12月16日

時間の使い方を記録する - 時間を管理する <4> -

 P.F.ドラッカーは、時間を管理するためには時間の使い方を記録すること「タイムログ」が不可欠だと述べています。

「時間をどのように使っているかを知り、続いて時間の管理に取り組むには、まず時間を記録する必要がある。熟練、未熟練の肉体労働については、一九〇〇年ごろ科学的管理法が時間の記録をとって以来知られている。(中略)しかし、今後重要な意味をもってくる仕事であって、特に時間に関わる問題に対処しなければならなくなる仕事、すなわち知識労働者の仕事については、まだこの知識を適用していない。しかるに、知識労働者においては、時間の活用と浪費の違いこそ、成果と業績に直接関わる重大な問題である。知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の仕事の時間の使い方を記録することである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 この「タイムログ」については、私の友人でもある長野慶太氏が、その著書『TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) 』(草思社)において実体験をまじえて語っているので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 それは彼がアメリカの法律事務所で仕事をするなかで必要に迫られて身につけた習慣です。法律事務所は、一人ひとりの時間単価が決められており、その時間の集積×時間単価がクライアントへの請求となるために、「タイムログ」が必須(反対にそれをしないと商品にならない)だったのです。
 「時間を記録すること」は、初心者には非常に億劫に感じるかもしれません。彼はエクセルを使ったシンプルな方法で記録しているそうです。それなら私にもできそうです。
 司法書士事務所の所長に限らず、経営者の方はぜひ行ってみてください。事務所マネジメントの仕組みのひとつとして、取り入れてみたらよいと思います。

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2009年12月10日

時間をまとめる - 時間を管理する <3> -

 P.F.ドラッカーは、人のために使う時間は、まとめて大きくとらなければいけないと指摘します。

「時間は、大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、いかに合計が多くとも役に立たない。このことは、特に人と働く場合の時間の使い方についていえる。人というものは時間の消費者であり、多くは時間の浪費者である。人のために時間を数分使うことは、まったく非生産的である。何かを伝えるためには、まとまった時間が必要である。計画や方向づけや仕事ぶりについて、部下と十五分で話せると思っても、勝手にそう思っているだけのことである。肝心なことを分からせ、影響を与えたいのであれば、一時間を必要とする。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 これは多くの司法書士事務所で、未経験の司法書士有資格者を事務所に迎え入れた時に、所長たちが感じていることではないでしょうか。
 自分で行ったほうが効果的だし、断然、早い。しかし、時間をかけて教えなければ、ずっと自分が同じことをやり続けなければなりません。ぐっと我慢をして大量の時間を投入して教え、さらにぐっと我慢をして実務をやらせなければ、なんのために人材を採用したかが分からなくなってしまいます。

 さらに、言われたことをそのままやるのではなく、一定のミッションを提示すればその範囲では自律的に仕事ができる人材に育てあげる必要があります。

「知識労働者には、自らの方向づけを自らさせなければならない。何が、なぜ期待されているかを理解させなければならない。自らが生み出すものを活用する人たちの仕事を理解させなければならない。そのためには、多くの情報や対話や指導が必要となる。ここでも時間が必要となる。同僚にも時間を割かなければならない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 そう、知識労働者をマネジメントするためには多大な時間が必要なのです。だからこそ無駄な時間を排除して、まとまった時間をつくらなければなりません。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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