2009年11月 4日

価値を優先する - 自らの強みを知る <8> -

 事務所の経営者は、組織の価値観に合ったメンバーをそろえる必要があります。
 組織の価値観は、個人事務所の場合は「所長の価値観=事務所の価値観」ですし、司法書士法人の場合は、「理念」や「行動指針」という形で表現されているでしょう。

「組織には価値観がある。そこに働く者にも価値観がある。組織において成果をあげるためには、働く者の価値観が組織の価値観になじまなければならない。同一である必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ、心楽しまず、成果もあがらない。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 私はメンターエージェントという人材紹介サービスも行っているため、転職の相談もよく受けます。転職を考え始める大きな理由は、「価値観の違い」と「経済的理由」のふたつです。「価値観の違い」が、辞める大きな理由になっているということに注目しなければなりません。
 ある事務所経営者の方は「面接では相手のことはあまり聞かない。自分自身のことを洗いざらい話しして、自分に合うかどうかを判断させるようにしている」とおっしゃっていました。もちろん、相手のことを洗いざらい聞き出してこちらのほうも判断するということもしなければならないのですが、この経営者の方のように自分の事務所のことをしっかり語る事務所は少ないように思います。
 なんとなくいいと思った人を採用して短期で辞められるよりも、価値観の共有できる人を見極めて採用し、長く組織に貢献してもらうほうが経営者にとっては良いことではないでしょうか。

 話はまったく変わりますが、「価値観」という言葉で考えることがもうひとつあります。

「強みと仕事の仕方が合わないことはあまりない。両者は密接な関係にある。ところが、強みと価値観が合わないことは珍しくない。よくできること、特によくできること、恐ろしくよくできることが自らの価値観に合わない。世の中に貢献しているとの実感がわかず、人生のすべて、あるいはその一部を割くに価しないと思われることがある。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 P.F.ドラッカーは自らの強みと価値観が合わない場合について書いていますが、自らの強みと価値観が合っている場合でも、自身の価値観に合う別の役割がないかとの視点を持つことも大切なことのような気がします。
 私は司法書士事務所を経営しながら、事務所のなかでメンバーが成長し、組織として継続するためにはどうすればよいかを常に考え、そのために自身がどのように役割を変えることができるかに腐心していました。そして、事務所のなかでの役割はもうないなと思ったとき、自身の価値観に合う別の役割があると考え、株式会社コンサルティングファームを設立したのです。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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