2009年11月アーカイブ

2009年11月25日

時間を無駄にする仕事 - 時間を管理する <2> -

 以前にも紹介しましたが、某女性下着メーカーでは、業務の効率化のために「外部からの電話を一切受けない時間帯を設けている」そうです。電話は今まで集中してやっていた仕事を中断させますから、電話が終わったあと再度「思い出すための時間」を要し、この繰り返しで時間が浪費されるので、電話を受けずに仕事に集中する時間をつくったのだそうです。
 私は、仕事中頻繁にメールをチェックしてしまいます。これも思考を分断することになりますので、一定時間は我慢をして違う仕事に集中しなければと、反省しきりです。

 P.F.ドラッカーも時間の浪費に費やされる様々な事例を提示します。

「病院長は、病院内のあらゆる会議に出なければならない。出なければ、医者や看護婦や技術者は軽く見られていると思う。政府機関の長は、議員が電話してきて、電話帳や年鑑で簡単にわかるようなことを聞いても、ていねいに応対したほうがよい。そのようなことが一日中続く。誰でも事情は変わらない。成果には何も寄与しないが無視できない仕事に時間をとられる。膨大な時間が、ほとんど、あるいはまったく役に立たないことに費やされる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 どのように時間を使っているのかがわかったら、次に浪費されている時間を見つけ出し、そのことを排除するか、少なくするための工夫をしなければなりません。
 弁護士事務所の優秀な秘書は、弁護士につなぐべき電話とつなぐ必要がない電話の分類を瞬時に判断します。結果、弁護士は時間の浪費を避けることができますから、優秀な秘書を雇用できるかどうかも経営上の大きな課題となります。

 司法書士事務所も、午前中は相談の対応に追われて仕事が分断され、仕事の効率が悪いという話をたまに聞きます。これについては、相談対応の得意な資格者に一定時間相談業務に集中してもらい、それ以外の資格者は自分の業務に専念するということで解決できるかもしれません。
 このように無駄な時間の判断と、その時間を省く、ないしはその時間を最小限にとどめる仕組みをつくることが、時間を管理する基本の第二段階となります。

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2009年11月18日

自分の時間をどのように使っているのか - 時間を管理する <1> -

 成果をあげるためには、時間を管理することが最も重要だとP.F.ドラッカーは言います。

「私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要素を退ける。そして最後に、その結果得られた時間を大きくまとめる。すなわち、時間を記録し、管理し、まとめるという三つの段階が、成果をあげるための時間管理の基本となる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 代替性のない唯一の資源である「時間」を管理するための考え方を示しているわけですが、この三つの段階は、中長期的なプランを考える場合はもちろんのこと、日々の仕事を行う場合でも参考になります。
 私はメンターエージェントという司法書士の人材紹介を行っていますが、人の採用に関する相談を受けた時に必ず聞くことは、「あなたでなくてもできる仕事がどれくらいあって、そのことを任せるためにどのような人材が必要なのか考えてみましょう」ということです。
 つまり、P.F.ドラッカーが言う「何に時間がとられているかを明らかに」し、「自分の時間を奪おうとする非生産的な要素を退ける」行為を考えましょうということです。
非生産的な要素の中には、「すべきではないこと」「すべきだけれども私がする必要がないこと」のふたつがあります。後者の部分を外出しすれば、自分にしかできない仕事に集中できるようになります。外出しには、「人を雇う」「アウトソーシングする」など選択肢はいろいろあります。

 しかし、「自分の時間をどのように使っているのか」を知ることは、意外と難しいものです。

「ある会社の会長は、時間を大きく三つに分けていると自分では思っていた。三分の一は幹部との時間、後の三分の一は大切な客との時間、残り三分の一は地域活動のための時間だった。六週間にわたって記録をつけてもらったところ、これら三つの活動のためのいずれに対しても、ほとんど時間を使っていないことが分かった。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 自分が使っていると認識している時間は、「このようにありたい」と考えている時間の使い方であって、実際の時間の使い方とは乖離しているということなのです。
 今現在、自分がどのような時間の使い方をしているのかを認識するためには、正確に時間を記録することから始める必要があります。思い込んだままの時間の使い方では、いつまでも時間の管理はできないということです。

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2009年11月12日

ところをうる - 自らの強みを知る <9> -

 ローマ神話に伝えられる運命の女神フォルトゥナには、後ろ髪がなく前髪しかないとされています。個人としても経営者としても、「その時」が来た時のために、準備は万全に整えておかなければなりません。

「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にできる。なぜならば、自ら得るべきところを知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行うようになるからである。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 司法書士としてのキャリアップも事務所の成長も、自らの強み・価値観・仕事の仕方を知っていなければ、今がチャンスと気付くこともないでしょう。それらを知ることが準備ということです。
準備をしなくても大丈夫とお考えですか? もしくは、もう既に遅いと諦めてしまってはいらっしゃいませんか?

 1909年生まれのP.F.ドラッカーは2005年11月11日に、95歳で亡くなるまで現役で仕事をされていました。
 私は来年50歳になりますが、95歳まであと45年あると考えると、今から準備を始めてもまったく遅くはないと思っています。

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2009年11月 4日

価値を優先する - 自らの強みを知る <8> -

 事務所の経営者は、組織の価値観に合ったメンバーをそろえる必要があります。
 組織の価値観は、個人事務所の場合は「所長の価値観=事務所の価値観」ですし、司法書士法人の場合は、「理念」や「行動指針」という形で表現されているでしょう。

「組織には価値観がある。そこに働く者にも価値観がある。組織において成果をあげるためには、働く者の価値観が組織の価値観になじまなければならない。同一である必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ、心楽しまず、成果もあがらない。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 私はメンターエージェントという人材紹介サービスも行っているため、転職の相談もよく受けます。転職を考え始める大きな理由は、「価値観の違い」と「経済的理由」のふたつです。「価値観の違い」が、辞める大きな理由になっているということに注目しなければなりません。
 ある事務所経営者の方は「面接では相手のことはあまり聞かない。自分自身のことを洗いざらい話しして、自分に合うかどうかを判断させるようにしている」とおっしゃっていました。もちろん、相手のことを洗いざらい聞き出してこちらのほうも判断するということもしなければならないのですが、この経営者の方のように自分の事務所のことをしっかり語る事務所は少ないように思います。
 なんとなくいいと思った人を採用して短期で辞められるよりも、価値観の共有できる人を見極めて採用し、長く組織に貢献してもらうほうが経営者にとっては良いことではないでしょうか。

 話はまったく変わりますが、「価値観」という言葉で考えることがもうひとつあります。

「強みと仕事の仕方が合わないことはあまりない。両者は密接な関係にある。ところが、強みと価値観が合わないことは珍しくない。よくできること、特によくできること、恐ろしくよくできることが自らの価値観に合わない。世の中に貢献しているとの実感がわかず、人生のすべて、あるいはその一部を割くに価しないと思われることがある。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 P.F.ドラッカーは自らの強みと価値観が合わない場合について書いていますが、自らの強みと価値観が合っている場合でも、自身の価値観に合う別の役割がないかとの視点を持つことも大切なことのような気がします。
 私は司法書士事務所を経営しながら、事務所のなかでメンバーが成長し、組織として継続するためにはどうすればよいかを常に考え、そのために自身がどのように役割を変えることができるかに腐心していました。そして、事務所のなかでの役割はもうないなと思ったとき、自身の価値観に合う別の役割があると考え、株式会社コンサルティングファームを設立したのです。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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