2009年10月アーカイブ

2009年10月29日

人と組むか、ひとりでやるか  - 自らの強みを知る <7> -

 これは、司法書士のみならずほとんどの士業事務所の経営者につきものの悩みかもしれません。自身の選択だけでなく、どのような人材をメンバーに加えるか、加えたメンバーをどのように生かすかという問題もあります。

「仕事の仕方として、人と組んだほうがよいか、ひとりのほうがよいかも知らなければならない。組んだほうがよいのであれば、どのように組んだときよい仕事ができるかを知らなければならない。チームの一員として働くとき、最高の人がいる。助言役として、最高の人がいる。教師や相談役として最高の人がいる。相談役としては、まったく価値のない人もいる。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 私は、自身の不得意な部分を補ってくれる人と組んで、私が主導して仕事ができる環境がベストだと思っています。根がわがままなので、自分のやりたくないことは極力やりたくありません。人と意見を調整するほうがよっぽど楽です。

 P.F.ドラッカーは続けます。

「もう一つ知っておくべき大事なことがある。仕事の環境として、緊張感や不安があったほうが仕事ができるか、安定した環境のほうが仕事ができるかである。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 緊張感や不安があったほうが仕事ができるという人は、ひとりで仕事をしたほうが良いかもしれません。ここでいう「ひとりで」とは、全部を自分で考えて、指示を出して人に仕事をさせ、問題点も自分ですべて対処する、という意味合いです。
 私は、安定した環境のほうが仕事ができます。そのような環境をつくるために「人と組む」のです。

 あなたが組織のメンバーであれば、自身をさまざまな立場に置くように努力してみるとよいでしょう。多様な立場を経験することによって、「人と組む」か「ひとりでやる」か、「人と組むとしたらどのように組むことが自身を一番生かせるか」が分かってきます。
 あなたが経営者なら、メンバーをさまざまな立場で使ってみて、その人にあった環境を早く用意してあげることです。

「これらのことから出てくる結論は一つである。今さら自らを変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。それよりも、自らの得意とする仕事の仕方を向上させていくべきである。不得意な仕方で仕事を行おうとしてはならない。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 事務所の所長もメンバーも、それぞれの得意なことを見極めて力を注ぐべきです。

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2009年10月21日

仕事の仕方に注目する - 自らの強みを知る <6> -

 人には、得意な「仕事の仕方」とそうでない「仕事の仕方」がある、とP.F.ドラッカーは言います。

「自らがいかなる仕事の仕方を得意とするかは、強みと同じように重要である。実際には、強みよりも重要かもしれない。ところが驚くほど多くの人たちが、仕事にはいろいろな仕方があることを知らない。そのため得意でない仕方で仕事をし、当然成果はあがらないという結果に陥っている。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 そしてまずは、自分の「理解の仕方」について知らなければならないと説きます。

「仕事の仕方について初めに知っておくべきことは、自分が読む人間か、それとも聞く人間かということである。つまり、理解の仕方に関することである。世の中には読み手と聞き手がいること、しかも、その両方であるという人はほとんどいないということは知らない人が多い。自分がそのどちらかであるかを認識している人はさらに少ない。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 私は明らかに、「読む人間」です。講義やセミナーに参加しても、その時はなるほどと思いますが、後で思い出そうとしてもほとんど頭に残っていません。しかし、文章で読んだものは長く頭に残っており、再度読んだ文章はより深いものになります。

 「理解の仕方」が分かったら次は、自分の「学び方」について考えなければなりません。

「学び方は何種類もある。ベートーヴェンのように、膨大なメモをとることによって学ぶ人がいる。GMのスローンは会議中にメモをとらなかった。なかには、自分が話すのを自分が聞いて、学ぶ人がいる。あるいは、実際に仕事をしつつ学ぶ人がいる。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 私は、ひとりで人と面談する場合以外は極力メモをとりません。議事録は人に任せます。
 司法書士向けのキャリアセミナー等でセミナーの講師を務めると、話しながらアイデアが浮かんでくることが多いので、「自分が話すのを自分が聞いて、学ぶ人」だと思います。「学び方」は多種多様ですから、どのような方法が自身に合っているのかを認識しなければなりません。

 さらに司法書士事務所の経営者は、自分自身についてだけでなく、所員の「仕事の仕方」についても知っておくべきでしょう。各人にそれについて考えさせ、話しあう機会を設けてみてはいかがでしょうか。一人ひとりに合った方法で仕事をさせることが成果につながります。

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2009年10月14日

フィードバック分析から分かること(2) - 自らの強みを知る <5> -

 フィードバック分析から「強み」と「弱み」を確認したあと、それをどう生かしていくのかについての続きです。

「第四は、自らの悪癖を改めることである。行っていること、あるいは行っていないことのうち、仕事ぶりを改善し成果をあげるうえで邪魔になっていることを改めなければならない。フィードバック分析では、それらが明らかになる。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 睡眠が足りて元気な状態でないと、なかなか100%の力は発揮できないものです。しかし、夜のお付き合いが断れず、睡眠が足りないまま朝はいつもどおり早く出勤、そしてだらだらと仕事をしてパフォーマンスが出せないという方も多いのでは?
 司法書士に限らず私たち専門家は、時間を切り売りしているのではなく、成果を出すことを求められています。人の目は気にせずに悪癖は早々に取り除かなければなりません。

「第五は、人への対し方が悪くて、みすみす成果をあげられなくすることを避けることである。頭のよい人たち、特に若い人たちは、人への対し方が潤滑油であることを知らないことが多い。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 従業員への指示は、従業員が指示に従って実行するという「効果」がなければ意味がありません。お客さまへの説明も、お客さまに理解していただかなければ意味がありません。いくら正しいことを話しても、相手に伝わっていないならば、成果をだすことはできないでしょう。どうすれば理解してもらえるのか、伝わる工夫をしているのか、そういった人への接し方が、成果を出すためには意外に欠かせないものだということに気づかねばなりません。

「第六は、行っても成果のあがらないことは行わないことである。」  (中略) 「第七は、努力しても波にしかなれない分野に無駄な時間を使わないことである。強みに集中すべきである。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 司法書士事務所の所長から、「債務整理しかしたことがなく、現在は債務整理に特化しているが、今後のことを考えて他の業務に進出したい」との相談を受けることもよくあります。
 答えは2つです。ひとつは債務整理業務をとことん追及し、過払いがなくても利益ができる体質をつくり、その周辺にクライアントの課題を見つけたらその業務をやってみること。もうひとつは、債務整理以外に「強み」を持っている司法書士有資格者を雇うことです。

 つまり、「強み」を極めるか、「弱み」を人で補うかというところに尽きるでしょう。

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2009年10月 9日

フィードバック分析から分かること(1) - 自らの強みを知る <4> -

 P.F.ドラッカーはフィードバック分析から、やるべきことと、やってはいけないことが明確になると言っています。「強み」と「弱み」を確認したら、それをどう生かすべきかについて、2回にわけて考えてみましょう。

「第一は、明らかになった強みに集中することである。成果を生み出すものに集中することである。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 たとえば司法書士事務所の所長から、「このエリアでは一番になったので、他のエリアに支店を出したい」との相談を受けることがよくあります。その際にお聞きするのは2つのことです。ひとつめは、他のエリアに進出してあなたの強みを生かすことができるのか。ふたつめは、現在の地域で一番を維持し続けるだけの仕組みを持っているのか。
 ほとんどのケースで答えは「NO」であり、それで支店を展開しても、結果的にほとんどの事務所で成果が出せていないようにみえます。

「第二は、その強みをさらに伸ばすことである。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 上記の例で言うと、地域で一番という「強み」を、他の追随を許さない「更なる強み」に創り上げるということです。そうすることで、外からの脅威に備えられるとともに、他のエリアへ進出するさいの「強み」にもなります。つまり、他のエリアに進出してもあなたの「強み」を生かすことができるのです。

「第三は、無知の元凶とも言うべき知的な傲慢を正すことである。多くの人たち、特に一つのことに優れた人たちは他の分野を馬鹿にする。他の知識などなくとも十分とする。ところが、フィードバック分析は、仕事の失敗が、知っているべきことを知らなかったためであったり、専門以外の知識を軽視していたためであったことを明らかにする。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 優れた人は、他の分野を馬鹿にはしていないにしろ、さほど重要視しない傾向にあります。特に士業の場合は、自分たちの関与する領域に線を引き、他の分野への関与について「中途半端に関与しては怪我をする」とおよび腰になります。
 しかし、同一士業間の競争が激しくなり、その専門領域だけでは勝負ができなくなってきた現在、今までの自分たちの都合は捨てて、クライアントの課題やニーズに応えていかなければなりません。中途半端な関与ではなく、自身の専門以外の領域との統合の重要性を認識する必要があります。

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2009年10月 6日

強みを知る方法  - 自らの強みを知る <3> -

 P.F.ドラッカーは、「強み」を知る方法について、次のように述べています。

「強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば、何を期待するかをただちに書きとめておく。九か月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合する。(中略)こうして二、三年のうちに、自らの強みが明らかになる。自らについて知りうることのうち、この強みこそもっとも重要である。さらに、自らが行っていることや行っていないことのうち、強みを発揮する上で邪魔になっていることも明らかになる。それほどの強みでないことも明らかになる。まったく強みのないこと、できないことも明らかになる。」(「プロフェッショナルの条件」上田惇生編訳)

 実際の採用面接の前に、「強み」と「弱み」を把握できていれば、雇って(労働者側からすると就職して)からお互いが求めていることが異なることを確認するという迂遠なプロセスは必要ありません。
 ところが、「一緒に働いてみないと本当のところは分からない」まま、採用(就職)を行っているのが、現状です。しかしそのような場合(採用したあとで)でも、少なくとも組織が求める「強み」は何で、その「強み」をその人が持っているかどうかを、お互いに確認する機会を設けるべきです。そして最初の時点で、それがマッチしていない場合はお互いの不幸なのだからそのときは別れましょう、というコンセンサスをとっておくことが肝要です。

 ある司法書士事務所は、2年間で「一人親方(自ら営業して仕事を取り、ひとりで問題解決できる能力を持つ資格者)」になれなければ、事務所を去ってもらうというルールを定めています。組織が求める「強み」を客観的に検証できるように設定して、期限を設けて確認すること、それが組織にとっても、そこで働くものにとっても重要なことなのではないでしょうか。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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