2009年7月アーカイブ

2009年7月29日

目標とビジョンを持って行動する - 成長と変化を続けるための教訓 <1> -

 P.F.ドラッカーは、彼の人生を変えた七つの経験を紹介しています。彼はそこから「成長と変化を続けられるようにしてくれた教訓」を得ました。それは私たちにとっても大変参考になるものです。その一つひとつについて考えていきましょう。

 一つめは、イタリアオペラの作曲家「ジュゼッペ・ヴェルディの教訓」です。平均寿命が50歳そこそこだった当時、ヴェルディが80歳で書き上げた最後のオペラ「ファルスタッフ」を聴いて、ドラッカーは衝撃を受けます。

「しかも八十歳という年齢で、なぜ並はずれてむずかしいオペラをもう一曲書くという大変な仕事に取り組んだのかとの問いに答えた彼の言葉を知った。『いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった』。私はこの言葉を忘れたことがない。それは心に消すことのできない刻印となった。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 そして、

「だが私は、そのときそこで、一生の仕事が何になろうとも、ヴェルディのその言葉を道しるべにしようと決心した。そのとき、いつまでも諦めずに、目標とビジョンをもって自分の道を歩き続けよう、失敗し続けるに違いなくとも完全を求めていこうと決心した。」 (『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と続けます。

 ドラッカーは、失敗をバネにしながら完全を求め続け、ビジョンと目標を持って行動する人間が生み出す力に圧倒されたのだと思います。
 私たち専門家も、完全を求め続けるべきでしょう。つまり、「なにをもって社会に貢献するのか」を問い・答えを見つけ・その実現のために挑戦する、それを絶えず続けることです。きっと、若々しく力強い感動を与えられる仕事ができるようになるでしょう。

 みなさんも、そうなりたいと思われませんか?

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2009年7月22日

よい人間関係をもつ秘訣 -中堅司法書士事務所の課題解決のために <4>-

 「チームワーク」とは、「横」へのコミュニケーションを指しています。
 これについてP.F.ドラッカーは、次のように言っています。

「貢献に焦点を合わせることによって、横へのコミュニケーション、すなわちチームワークが可能となる。『私の生み出すものが成果に結びつくためには、誰がそれを利用してくれなければならないか』との問いが、命令系統の上でも下でもない人たちの大切さを浮き彫りにする。(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 このことについては、これまでたびたび言及してきましたので、ここでは詳しく述べませんが、自分を生かしてくれる人は誰かをよく考え、その人たちに自分の必要性をアピールすることも大事だということです。

 前回述べた「縦」のコミュニケーションと、上述の「横」へのコミュニケーションがしっかりと意識され、組織の仕組みのなかに組み込まれていれば「よい人間関係がもてる」ことになりますし、「人間関係は生産的なもの」となります。

 事務所内のコミュニケーションがしっかりとれていれば、個人も組織も自律的に動くことが可能となります。自律的に動くことができれば、各人のモチベーションは保たれ、生産性も下がることはないでしょう。所長と所員から不満の声があがることはなくなり、結果として、最初にあげた二つの課題が持ち上がることもなくなるのです。

 所長が今まで述べたことを認識し、組織の仕組みのなかに取り入れようとしているか、その姿勢が課題を解決する鍵となるのです。

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2009年7月17日

よい人間関係をもつ秘訣 -中堅司法書士事務所の課題解決のために <3>-

 前回あげた「コミュニケーション」とは、マネージャーとメンバーとのコミュニケーション、つまり「縦」のコミュニケーションを指しています。

 P.F.ドラッカーは、それについて以下のように述べています。

「仕事において貢献する者(マネージャー※山口による脚注)は、部下たちが貢献すべきことを要求する。『組織、及び上司である私は、あなたに対しどのような貢献の責任を持つべきか』『あなたに期待すべきことは何か』『あなたの知識や能力をもっともよく活用できる道は何か』を聞く。こうして初めて、コミュニケーションが可能となり、容易に行われるようになる。その結果、まず部下が、『自分はどのような貢献を期待されるべきか』を考えるようになる。そこで初めて、上司の側に、部下の考える貢献について、その有効性を判断する権限と責任が生じる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 つまりマネージャーがまず果たすべき役割とは、

  (1)「部下であるあなたが最大限組織に貢献するために支援すること
    が自身の役割である」ことを伝えること
  (2)「あなたはどのような支援を求めるのか」と聞くこと
  (3)「その部下にどのような貢献が求められているのか」や「その部
    下の知識や能力をいかに活用すれば最もその貢献に近づける
    のか」を聞くこと

 という三つです。

 マネージャーがそれをしなければ、部下は自身の貢献を考えるようになりません。そして部下が考えなければ、マネージャーは、部下の考えている貢献が組織の目的を達成するために有効か否かを判断することができませんし、その判断への責任も負わないままでいます。
 
 それではお互いの状況を理解することは不可能ですよね?

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2009年7月15日

よい人間関係をもつ秘訣 -中堅司法書士事務所の課題解決のために <2>-

 よい人間関係について、P.F.ドラッカーは、

「人間関係に優れた才能をもつからといって、よい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や人との関係において、貢献に焦点を合わせることにより、初めてよい人間関係がもてるのである。こうして、人間関係は生産的なものとなる。まさに生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と述べています。

 「貢献に焦点を合わせる⇒よい人間関係がもてる∽人間関係は生産的なものになる」というわけです。
 所長1名と補助者5名の時代は、所長が直接指示出しをして、補助者の行っている仕事もほぼ把握できましたから、働いていない人がいればすぐに修正できました。
 拠点が増えた、人数が増えたということになると、所長は直接指示だしをできませんし、補助者の行っている仕事を把握できません。この段階にくると、「一人ひとりが自律的に自身の役割を認識してチームのために行動する」「マネジメント単位を決めて、マネージャーを置き、メンバーを指導監督する」ということができないと、組織は混乱し、生産性は極度に低下します。そして、前回あげた「所長の声」と「所員の声」が聞こえてくるようになるのです。

 一人ひとりが自律的に行動できるよう「生産的である」ためにはどうしたらよいのでしょうか?

 P.F.ドラッカーは、よい人間関係に必要な基本条件について以下のように述べています。

「われわれは、貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発及び人材育成という、成果をあげるうえで必要な人間関係に関わる基本条件を満たすことができる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 私はこのなかで「コミュニケーション」と「チームワーク」が、よい人間関係をもつために特に重要であると考えます。この二つについてもう少しブレークダウンして考えてみましょう。

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2009年7月 8日

よい人間関係をもつ秘訣 -中堅司法書士事務所の課題解決のために <1>-

 私が依頼を受けるコンサルティングのなかで、中堅司法書士事務所の課題としてよくあげられるのは、次の二つです。

  (1) 売上が落ちて利益が出ない。
  (2) 生産性が落ちて利益が出ない。

 そして、ヒアリングを進めていくなかで、所長から必ず聞く言葉が以下のどちらかです。

  (1) 自分が営業して仕事を取ってくるのに、そのことを所員が評価
      しない。
  (2) 新しい拠点に注力したいのに、従来の事務所のメンバーが
      一生懸命仕事をしてくれない。

 反対に、所員からよく聞く声はこうです。

   「所長は事務所をほったらかしで何をやっているかわからない。」


 所長はストレスがたまり、所員はモチベーションが下がり、売上と生産性が低下するという悪循環につながっているようです。

 司法書士事務所は長年にわたり所長1名と補助者数名という組織形態で仕事をしてきました。補助者の人数も5名程度と制限されてきたわけですが、はからずも理想的なマネジメント単位だったわけです。
 ところが、拠点展開や法人化などを行うことによって人数が増え、一人ひとりに目が届かなくなる(10名を超えてくるとひとりでみるにはちょっと大変です)という現象が発生してきました。お互いに何をやっているのかわからないという状況に陥り、生産性の低下を招いているのです。

 そのような悪循環を絶つ鍵は、もちろん経営者である所長が握っています。お互いの状況を理解し、事務所内の人間関係をよりよくする工夫が必要となってきます。その方法について、何回かにわけて考えていきましょう。

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2009年7月 1日

知識ある者の責任 -ゼネラリスト的知見の必要性-

 前回引用したP.F.ドラッカーの言葉を、また違う観点で捉えなおしてみましょう。

「知識労働者は、ほとんどが専門家である。事実彼らは、通常、一つのことだけを非常に良く行えるとき、すなわち専門化したときにのみ大きな成果をあげる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 しかし、ただそれだけで成果をあげることはできないと続けます。

「「必要なことは、ゼネラリストをつくることではない。知識労働者が彼自身と彼の専門知識を活用して成果をあげることである。言い換えれば、自らの産出物たる断片的なものを生産的な存在にするために、それを利用する者に『何を知ってもらい』『何を理解してもらわなければならないか』を徹底的に考えることである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 知識労働者は一義的に専門化しなければならなりませんが、それだけで成果を出すことはできません。あわせて、専門化した知識労働者が生成するアイデア・ノウハウ・情報などを利用してもらう努力も必要になると言っているわけです。
 そして、そのために以下のような意味で「ゼネラリスト」でもあるべきだと言っています。

「ゼネラリストについての意味ある唯一の定義は、自らの狭い専門知識を、知識の全領域の中に正しく位置づけられる人のことである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 知識労働者は組織のなかで専門化しつつも、一方で組織の果たすべき社会的貢献を理解し、そのために組織が全体としてどのように動き、また、そのなかで自身の専門性をどのように生かせばよいのかを考えなければなりません。そういう意味での「ゼネラリスト的知見」が求められているのです。
 事務所の経営者は、このことを認識し、事務所で働くメンバーにも意識してもらえるよう努力しなければなりません。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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