2009年6月19日

三つの領域における貢献 -司法書士事務所でよくある人材育成についての誤り-

 「人材の育成」について、P.F.ドラッカーの次の言葉はいかがでしょう。

「もっともよく見られる人事の失敗は、新たに任命された者が、新しい地位の要求に応えて自ら変化していくことができないことに起因している。それまで成功してきたのと同じ貢献を続けていたのでは、失敗する運命にある。貢献すべき成果そのものが変化するだけでなく、前述した三つの領域の間の相対的な重要度さえ変化するからである。このことを理解せずに、以前の仕事では正しかった仕事の仕方をそのまま続けるならば、新しい仕事では、間違った仕事を間違った方法で行うことになる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 司法書士事務所を組織の成長プロセスという視点で区分すると、以下の3つの段階があるように思います。

  <第一段階>
   所長自身がすべての意思決定を行い、補助者の方がその指示に
   従って実行する段階

  <第二段階>
   所長以外に資格者がおり、所長の監督下にありながらも資格者は
   資格者として独自の判断に基づいて業務をこなしているという段階

  <第三段階>
   不動産登記部門、商業登記部門、債務整理部門などの専門部門
   ができて、部門ごとにミドルマネジメントが登場する段階

 たとえば第二段階から第三段階へ移行する際に、実務に優れた資格者をミドルマネジメントに起用するということはよくあることですが、往々にして失敗しているケースが多いようです。
 その原因の一つは、起用された資格者がプレイングマネージャーとしての貢献が求められているにもかかわらず、相かわらずプレーヤーとしての貢献しかしないということにあります。

 しかし、そうなってしまう責任は、その資格者だけでなく所長にもあります。所長は、ポジションの変更によって貢献内容も変更になることを、その資格者に事前に理解させなければなりません(もちろん、そのことを望む、またはそのことに耐えられる人材を選出するのが前提です)。

 ミッションが古いままでは、新しい成果をだすことはできません。起用される側も所長自身も貢献内容が変わったことに無頓着であると、「新しい仕事では、間違った仕事を間違った方法で行うことになる」のです。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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