2009年5月27日
組織の存在理由 -事務所の経営目標を考える-
先日ある士業事務所の所長から、事務所のビジョンについてお話をうかがった際に「理にかなっているな」と感心したことがありました。
その所長は、事務所の利益率をもっとも高くし、クライアントの満足度を最高まで高めることができるクライアント数・所員数・所員の構成についての理想型(ここでは「事務所の黄金律」と呼びましょう)をはじき出し、それを目標に事務所の経営を行っているそうです。
「誰(どの士業)」が、「誰(対象とするクライアント)」に、「何(どのようなサービス)」を、提供するかによって具体的な数値や内容は異なってくるわけですが、P.F.ドラッカーの言葉と対比して考えると、実に面白い。
P.F.ドラッカーは、
と述べています。
「外の世界への奉仕」とは、先に述べた「クライアントの満足度を最高まで高める」ということです。それが組織の唯一の存在理由ですから、そのために何が必要かを順番に考えてみましょう。
例えば税理士は、自己の能力を高めることにより、税理士として最高のサービスをひとりで提供することはできますが、企業の中で発生する他の課題(労務や企業法務など)には応えることはできません。もちろん課題を聞き取って適切な専門家を紹介することは可能でしょうが、その専門家はあくまでも外部の方ですから、税理士自身が考えるサービスの質(ホスピタリティ、スピード、料金など)を提供することは難しいと言わざるを得ません。かといって、クライアントの数が10社しかないのに、その10社のために組織内に他のサービスを提供できる専門家をおくことも不可能でしょう。
つまり、質の高いサービスを目指すためには、そのサービスを維持できる「クライアントの数」が必要なのです。
その数のクライアントにサービスを提供するためには、それなりのメンバーを組織内におかなければなりません。しかし、一方で「組織は小さいほど、(中略)より完全に近づく」わけですから、人数はなるべく少なく、また組織内の活動も少なくするためにはどうすればよいかを考える必要があります。
もっとも簡単な方法は、組織の外に働きかけをしないメンバーの数を極力少なくすることです。大雑把に言ってしまうと、間接部門やミドルマネジメントをなるべくおかないということです。
以上のような視点で考えていけば、最初にお話した「事務所の黄金率」がはじき出され、それに近づくために何をしなければいけないか、おのずと答えは出てきます。
「組織は小さいほど、(中略)組織はより完全に近づく」わけですが、世の中には、間接部門やミドルマネジメントを大量に抱える事務所が多くなってきています。それらの事務所は一概に効率や生産性が悪いというわけではありません。大きく2つに分類されます。
一つは、従来の組織では達成することができない価値を社会に提供することを目的として、「事務所の黄金率」を考慮した上で、拡大を図っている事務所です。目標や計画が明確なため、拡大することで生じるデメリットを補って余りある効果を発揮できているといえるでしょう。
もう一つは、「事務所の黄金率」を導き出すための視点をまったく持たずに(または無視して)組織を拡大し、つぎはぎのような組織になってしまった事務所です。
当然のことながら後者のケースの場合、組織が不完全でうまく機能しないため、競争優位性が低くなり、淘汰される可能性が高くなってしまいます。
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