2009年4月 3日

明確な使命が成果を生む -事務所の「理念」と「ビジョン」の重要性-

 私は、司法書士事務所に対してコンサルティングや人材の紹介を行う際に、必ず最初に質問させていただくことがあります。それは、「事務所の社会的使命をどのように定義していますか?」ということです。

 P.F.ドラッカーは、

「組織の使命は一つでなければならない。さもなければ混乱する。それぞれの専門家が、自分の専門能力を中心に動くようになる。自分たちの専門能力を共通の目的に向けなくなる。逆に、自分たちの価値観を組織に押しつけようとする。焦点のはっきりした明確な共通の使命だけが、組織を一体化し、成果をあげさせる。明確な使命がなければ、ただちに組織は組織としての価値と信頼を失う。その結果、成果をあげるうえで必要な人材も手に入らなくなる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と述べています。

 資格者が所長一人で、スタッフに作業ベースの仕事をさせている状態のうちは、所長の価値観がすべてですから、事務所の中に混乱はありません。しかし、組織体となり、資格者が複数名存在するようになると、話が違ってきます。

 専門家は、もともと個人で完結してクライエントへの価値提供ができます。それでも組織を形成する理由は、個人で成し遂げられることとは別の価値を生み出し、社会に貢献するためです。組織には、組織として果たすべき社会的使命(個人では成し遂げられない、ないしは個人では成し遂げることが困難な役割)があるのです。
 その使命を明確にしないと、組織を構成する専門家は目的の共有ができませんから、、各人の価値観を主張し、お互いにぶつかり合うことになってしまいます(ドラッカーの言う混乱が生じるのです)。
 何のために組織体でいるのか、組織体でいることによって社会に対してどのような価値を提供し、どのような貢献をするのか、を明確に定義し、個人の価値観を昇華する枠組みが必要となります。

 組織の使命は、一般的には「理念」と、それをより具現化した「ビジョン」として表されます。しかし、「理念」として明確に文書化している組織のほうが少ないというのが現実でしょう。
 明確化しなくとも組織は回っているように見えますが、その一方で、成果をあげるうえで必要な人材の採用ができなかったり、採用しても遠からずやめてしまうということが起きていませんでしょうか?
 組織に適合する優秀な人材を採用し、その方に活躍してもらうためにも組織の「理念」は重要な要素となります。

 「理念」を持ち、それに向かって能力を発揮できる人材を採用することで、「成果をあげられる組織」が形成されていくのだと思います。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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