2009年4月22日
知識労働の三種類 -司法書士事務所の業務を分類する-
P.F.ドラッカーは、知識労働には大きく分けて三つの種類があり、どの種類に分類されるかによってその生産性を高めるための要件が違ってくるとの見解を示しています。
「第一に、知識労働のいくつかにおいては、仕事の成果は純粋に質の問題である。たとえば、研究所の仕事である。量、すなわち研究成果の数は、質に比べればまったく二義的である。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
このことは、製薬会社のファイザーが、一時期バイアグラによって一躍世界のトップメーカーに躍り出た、という事実により明らかです。
司法書士事務所で言うと、どの分野のマーケットに進出すべきか、どの地域に事務所を設けるべきか、という戦略的判断がこの領域に入ります。
また、企業再編などで一つひとつの課題に対するスキームをつくる、といったこともこの領域に入るでしょう。会社法の深い知識、税務や許認可などの周辺知識を深めることが生産性を高めるためには重要ということです。
「第二に、質と量をともに成果とすべき知識労働が幅広く存在する。デパートの店員の成果がそれである。顧客の満足は質的な側面であり、定義するのはそう簡単ではない。だがそれは、売上高や売上伝票の枚数という量的なものと同じように重要である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
不動産取引の立会いの際、不動産の仲介業者にアンケートをとっている事務所があります。これは質的な成果を目的とするもので、こなした立会いの件数とあわせて評価の対象になります。
「第三に、生命保険会社の保険金支払い、病院のベッドメーキングなど、その成果が肉体労働と同種の仕事が多数ある。それらの仕事の場合、質は前提条件であり、制約条件である。仕事の質は、成果ではなく条件である。最初から仕事のプロセスに組み込んでおかなければならない。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
申請書の作成業務などが、この領域に該当します。人の名前、住所、物件の表示など、正しいことが前提条件になります。そのためには、書類の作成プロセスのなかに、作成手順とチェック項目を組み込んでおかなければなりません。
事務所の業務をきちんと分類することによって、
「知識労働の生産性を高めるには、その仕事が、成果に関して、いずれの範疇に属するかを知っておく必要がある。そうして初めて、何に取り組むべきかが明らかになる。『何を分析すべきか』『何を改善すべきか』『何を変えるべきか』を決定できる。さらには、知識労働のそれぞれについて、生産性の意味を明らかにすることができる。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
ようになるのです。
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