2009年3月11日

組織社会が直面する問題 -司法書士の独占業務と新しいサービス-

 P.F.ドラッカーは、組織社会が直面する問題として、

「しかし、今後いかなる問題が登場するのか、いかなる領域にいかなる課題が存在するかについては、すでにかなりの程度明らかになっている。特にわれわれは、組織社会がいかなる緊張と課題に直面するかをすでに知っている。 それは、安定を求めるコミュニティと変化を求める組織の間の緊張であり、また個人と組織の間の緊張であり、両者の間の責任の関係である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

と述べています。

 昨今、IPO(Initial Public Offering)を目指す企業の支援、不動産証券化におけるデューデリジェンスの支援、相続時の諸手続きに関する支援などを行う司法書士の方々がいらっしゃいます。
これらの業務はもともと司法書士の独占業務として規定されているものではありませんが、(1)マーケットからの要請にしたがって司法書士がその持っている専門知識を活かす形で行ったり、(2)独占業務を実行する過程のなかで発生するマーケットのニーズを取り込む形で実行したりしているものです。
 既存の商品やサービスをいかに提供するかという視点を「プロダクトアウト」、顧客の視点で商品やサービスを提供しようとする視点を「マーケットイン」といいますが、独占業務の提供はプロダクトアウト、上記のような独占業務以外の顧客のニーズに応える形でサービスを創造提供することはマーケットインに該当します。

 どちらが良いか悪いかという問題ではなく、安定を求める「コミュニティ」は従来の独占業務をベースに物事を考えますし、変化を求める「組織」は、社会のニーズに応えなければ自らの存在価値を喪失してしまうと考えます。よって「組織」が独占業務からはずれて新しいサービスを行う際には、両者の間に緊張関係が生じるのです。
 しかし、このようなことは、特に司法書士業界に限らず、世の中一般に発生しています。好ましくは、この緊張を見て見ぬふりをするのではなく、組織とコミュニティ間を調整し、緊張を和らげる仕組みを用意することが必要なのではないでしょうか。

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山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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