2009年3月アーカイブ

2009年3月25日

迅速な意思決定に必要なもの -「所長だけの意思決定」には限界があります-

 外的環境の変化にあわせ、組織自体が変化して対応するためには、迅速な意思決定が重要なことは言うまでもありません。

 P.F.ドラッカーは、

「また組織は、変化に対応するために高度に分権化する必要がある。なぜならば、意思決定を迅速に行わなければならないからである」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 と言っています。

 司法書士の事務所でも、専門領域ごとにチームを編成したり、実務自体の分業化を行うことにより、ネットワークの構築・マーケティング・人事・労務・財務・経理など、「司法書士の本来の業務」以外の役割を果たす知識労働者を、組織内にかかえるようになってきています。

 そのようななかで、組織そのものの役割を迅速に果たすためには、組織内組織、そしてそれを支える知識労働者が意思決定できる仕組みを用意する必要があります。
 職務分掌や稟議などはそのためのハードのひとつですし、ミーティングやメール、報告書などは、運用を円滑にするためのソフトです。

 所長を頂点とした文鎮型組織の場合、所長以外の知識労働者は、常に所長の意思決定がなければ組織として機能できません。所長のキャパシティが組織そのもののキャパシティとなり、所長の時間がボトルネックとなって、それ以上の貢献ができないという状況に陥ります。

 組織が大きくなればなるほど、高度な分権化と統合の仕組みが必要になるわけですね。

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2009年3月18日

変化のための仕組みを持つ -「ゆで蛙」にならないために-

 「ゆで蛙」という言葉があります。

 組織が成果をあげつづけるために、P.F.ドラッカーは、

「第一に組織は、その行うことすべてについて、絶えざる改善、日本で言うカイゼンを行う必要がある」
「第二に組織は、知識の開発、すなわちすでに成功しているものについて、さらに新しい応用法を開発する必要がある」
「第三に組織は、イノベーションの方法を学ぶ必要がある。さらに、イノベーションは体系的なプロセスとして組織化することが出来るし、まさにそのように組織化しなければならない」
(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

としています。

 さらに上述の3つの活動を繰り返した後には、

 「数年ごとに、あらゆるプロセス、製品、手続き、方針について『もしこれを行っていなかったとして、今わかっていることをすべて知りつつ、なおかつ、これを始めるか』を問わなければならない。もし答えがノーであれば、『それでは今、何を行うべきか』を問わなければならない。(中略)『再検討』などと言ってはいられない。それどころか今後ますます組織は、成功してきた製品、方針、行動について、その延命を図るのではなく、計画的な廃棄を行わなければならない」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

と述べています。

 成功体験が、時として変化のための大きな頸木(くびき)となることは、後から振り返れば、誰にでもわかります。しかし、渦中にいながらそれを認識するのは困難であるため、組織のなかに、変化のための仕組みを意図的に入れ込んでおくことが重要です。

 そうしないと、

 「組織は急速に陳腐化し、成果をあげる能力を失い、同時に、その頼りとすべき高度の知識労働者を惹きつけ、とどめる魅力を失っていく」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

ということになってしまいます。

 組織が「ゆで蛙」にならないために注意しなければなりません。

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2009年3月13日

組織は創造的破壊のためにある -事務所に求められること、司法書士に求められること-

<その一> 組織としての司法書士事務所に求められていること
 
 P.F.ドラッカーは組織の存在理由を「破壊的創造」におきました。

「社会、コミュニティ、家族は、いずれも安定要因である。それらは、安定を求め、変化を阻止し、あるいは少なくとも減速しようとする。これに対し、組織は不安定要因である。組織は、イノベーションをもたらすべく組織される。イノベーションとは、オーストラリア生まれのアメリカの経済学者ジョセフ・シュンペーターが言ったように創造的破壊である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

 個人の資格者の集合体としての士会を「コミュニティ」に、新たに登場してきた司法書士法人を「組織」に当てはめて考えてみるとどうでしょうか。
 組織は個人ではできなかったことを実現する力(専門性を高め、統合し、資本を蓄積し、人材を教育し、クライアントのニーズに合わせた商品を開発する力)を持ちます。持たなければ、組織とはいえません。つまり、組織になったとたんにイノベーションが始まるわけです。

 一方、コミュニティは従来のルールになじんでおり、新しいルールを作ることについては当然のことながら慎重になります。そもそも、個人を対象としていたルールを、そのまま組織に当てはめること自体に無理があるといって良いでしょう。そこに緊張や束縛が起こることは、当たり前です。
 この問題は時として、どちらかが「正しい」または「間違っている」という観点で議論されます。しかし上述のとおり、両者間の緊張関係は、当然発生する原理原則といえるものですから、それを前提とした上でどのように調整すべきか、ということこそ議論されなければなりません。
 そして、その際に重要な視点となるのは、「誰のために」ということです。コミュニティなのか組織なのか、それとも、それ以外の「第三者」なのか。
 

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2009年3月11日

組織社会が直面する問題 -司法書士の独占業務と新しいサービス-

 P.F.ドラッカーは、組織社会が直面する問題として、

「しかし、今後いかなる問題が登場するのか、いかなる領域にいかなる課題が存在するかについては、すでにかなりの程度明らかになっている。特にわれわれは、組織社会がいかなる緊張と課題に直面するかをすでに知っている。 それは、安定を求めるコミュニティと変化を求める組織の間の緊張であり、また個人と組織の間の緊張であり、両者の間の責任の関係である」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)

と述べています。

 昨今、IPO(Initial Public Offering)を目指す企業の支援、不動産証券化におけるデューデリジェンスの支援、相続時の諸手続きに関する支援などを行う司法書士の方々がいらっしゃいます。
これらの業務はもともと司法書士の独占業務として規定されているものではありませんが、(1)マーケットからの要請にしたがって司法書士がその持っている専門知識を活かす形で行ったり、(2)独占業務を実行する過程のなかで発生するマーケットのニーズを取り込む形で実行したりしているものです。
 既存の商品やサービスをいかに提供するかという視点を「プロダクトアウト」、顧客の視点で商品やサービスを提供しようとする視点を「マーケットイン」といいますが、独占業務の提供はプロダクトアウト、上記のような独占業務以外の顧客のニーズに応える形でサービスを創造提供することはマーケットインに該当します。

 どちらが良いか悪いかという問題ではなく、安定を求める「コミュニティ」は従来の独占業務をベースに物事を考えますし、変化を求める「組織」は、社会のニーズに応えなければ自らの存在価値を喪失してしまうと考えます。よって「組織」が独占業務からはずれて新しいサービスを行う際には、両者の間に緊張関係が生じるのです。
 しかし、このようなことは、特に司法書士業界に限らず、世の中一般に発生しています。好ましくは、この緊張を見て見ぬふりをするのではなく、組織とコミュニティ間を調整し、緊張を和らげる仕組みを用意することが必要なのではないでしょうか。

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2009年3月11日

司法書士事務所のための「経営道場」を開設します

 100年に一度といわれる未曾有の経済危機の今、司法書士業界においても多くの事務所が激しい向かい風にさらされています。しかし、今起こっている現象は短期的な経済危機のみが原因ではありません。その根底には、ここ10年の間に業界で起こってきた「環境変化」があるということに、疑いをさしはさむ余地はないでしょう。
 なかでもいちばんの変化として私が注目しているのは、個人として効果を出していた司法書士事務所が、組織として効果を出すという段階に入ってきたことです。

 P.F.ドラッカーは、現代を知識社会であり組織社会であると規定しています。

「知識社会では、専門知識が、一人ひとりの人間の、そして社会活動の中心的な資源となる。いわゆる経済学の生産要素、すなわち土地、資本、労働は、不要になったわけではないが、二義的になる。それらは、専門知識さえあれば入手可能である。しかも、簡単に手に入れられる。  とはいえ、個々の専門知識はそれだけでは何も生まない。他の専門知識と結合して、初めて生産的な存在となる。知識社会が組織社会となるのはそのためである。企業であれ、企業以外の組織であれ、組織の目的は、専門知識を共同の課題に向けて結合することにある」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
   これを司法書士にあてはめて考えると、司法書士事務所という組織体は、「高い専門知識を使い、個人や企業が持っている課題を解決する」ことを共同の課題として、個人ではできなかった社会への貢献をしなければならないものであり、そうできる時代になってきたのだ、ということです。

 このブログは、組織社会が進むなかで、事務所のマネジメントに悩み、課題を持ち、その解決に取り組まれている多くの事務所経営者、司法書士事務所のメンバーの方々を対象としています。ドラッカーの言葉を引用しながら、プロフェッショナルとして組織をどのようにマネジメントし、組織にどのようにかかわればよいのかをお伝えしていこうと思います。
 多少なりともみなさまの事務所の発展に寄与できれば、それ以上の喜びはありません。

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プロフィール

山口 毅
TAKESHI YAMAGUCHI

山口 毅
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役
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