強みに基づいた人事を行うための4つの原則についての続きです。三つめは、その人間にできることか、をチェックすることです。
どうすれば判断できるのでしょうか。P.F.ドラッカーは普段からの人事考課が重要としています。ただ人事考課が通常は(今の日本の人事考課がそれに該当するかどうかは不明ですが)ポジティブ面(うまくいっていること)の評価ではなく、ネガティブな面(うまくいっていないこと)の評価を行っているがゆえに、そのままでは役に立たないそうです。司法書士事務所の考課においても思い当たることがあるのではないでしょうか?
経営者は、以下のような独自の視点で評価すべきと言っています。
「まず貢献の目標と実際の成果を記録する。その後、次の四点について評価する。
(1) よくやった仕事は何か
(2) よくできそうな仕事は何か
(3) 強みを発揮するには何を知り何を身につけなければならないか
(4) 彼の下で自分の子供を働かせたいと思うか
① そうであるならなぜか
② そうでないならなぜか
」(『経営者の条件』上田惇生編訳)
成果報酬、目標管理など日本でことごとく失敗したと言われている人事評価制度は、おそらくその人の強みを知るということに力点がなく、報酬と連動させて業績を上げるというところに比重を置いたためにうまくいかなかったのかもしれません。
評価者側が、その人の強みを知るための評価であることを認識し、そのことを部下にきちんと伝えていれば、もう少し建設的な取り組みができたように思います。
四つめは、弱みを我慢することです。
強みに注目し、強みを生かすためには、弱みがその強みを阻害しない範囲で無視する必要があるということです。では、強みを阻害する弱みがある場合、どうするのでしょうか。
「マーシャルは強みの発揮を制約する弱みだけを気にした。しかしそのような弱みさえ、仕事と機会を与えることによって乗り越えさせようとした。
たとえばマーシャルは、一九三〇年代の中頃、アイゼンハワー少佐に戦略的な思考を身につけさせるため戦略部門の仕事につかせた。その結果アイゼンハワーが戦略家になれたわけではなかった。しかし、戦略に対する敬意と理解力を身につけた。こうしてチーム編成や戦術についての彼の強みに対する制約が取り除かれた。
」(『経営者の条件』上田惇生編訳)
弱みそのものを修正することを考えるのではなく、強みを生かすために障害となる弱みをカバーするというか軽減する方法を考えたほうがよいということでしょう。
経営者自身の強みを知り、部下の強みを知る、そしてその強みを生かすためにはどうすればよいのか、そのことを常に考え実行できれば、組織として成果を出す一歩を踏み出すことができるのでしょうね。